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大変お待たせしてしまったが、8月に発行した拙ミニコミ誌、重版がやっと出来上がった。
de12natu表紙デウスエクスマキな食堂12年夏特別号
『岸辺のアブラミ 上下巻+別冊』

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東京の郊外散策と銘打って、川べりを中心に巡っているので、掲載しきれなかった延長線を今回から前後編で綴ってみたい。



これまで本連載で埼玉県川口市を何度か歩いてきたが、この埼玉県南部分には水路がことのほか多く、気づくと水路に出くわしたり、沿って歩いていることが実によくある。

現在のさいたま市見沼区、JR武蔵野線の東浦和駅近くは嘗て、台地に挟まれた沼地や荒地だった。今から380年ほど前、そこに八丁堤を築堤し、水を貯めて田んぼ等の生活用水とした。この見沼のため池の水は、行田市の利根大堰の辺りから利根川の水を引っ張ってきて、全長60kmほどの用水路、見沼代用水が出来上がった【cf.Wikipedia:見沼代用水】
江戸時代、江戸に人口が増え、水運の観点からも水路が必要となった。そこで、東京北部に接する、埼玉との境になる荒川へと、見沼の辺りから芝川や神領堀など色んな水路が引っ張られるようになる。なので、川口の辺りはやたら水路が走るようになった、ということらしい。
江戸初期に見沼をため池に改修した他、こうした河川改修や新田開発をアチコチでやり、荒川を熊谷からグイと曲げたことでも知られるのが、伊奈忠次というオッサン。埼玉県民なら伊奈町という町名を耳にしたことがあると思うが、伊奈氏の名に由来し、そこには嘗て伊奈氏の屋敷があった【伊奈町HP:伊奈町の歴史】
そこからこの川口にお引越ししてきて、赤山城を築城した。

というわけで、川口を水路づたいに巡ったら、赤山城に巡りあったなんて、歴史の点が線で結ばれたみたいでロマンチックでしょ。なんか運命的なものを感じてしまって、こうなったら赤山城跡に行くしかなるまい!

前世紀まで鉄道の通っていなかった、最近川口市と合併した鳩ヶ谷市。そこを縦断する2001年に開業した埼玉高速鉄道線に乗って、旧鳩ヶ谷市の北端、新井宿駅で下車する。

より大きな地図で 昭和迷宮物件vol.48MAP を表示
嘗ては旧岩槻街道の宿場町として栄えたが、今は東北自動車道の玄関口として、首都高川口線と外環道の交差する川口JCTが覆いかぶさる、車の通りすぎる町と化している。隣接する安行は植木の町として知られ、新井宿も花卉農家が道道に見受けられる。
綺麗に刈られた木々を横目にトボトボ歩いていると、首都高下に出る。高速脇に河川敷に見られるような空地を転用したと思しき野球場が目に飛び込んできた。
48_01.jpg 一見ただの野球場だがナニカオカシイ。
球場の土地、凹んだ平地に作られているのだ。つまり、河川敷のように、川があって土手があって、その間の土地が野球場に宛てられている。高速側が土手で、斜面を下ってグランドがある。その斜面は簡易スタンドのように段差が設けられている。
48_02.jpg 自分が駅から歩いてきた道も、緩やかな上りになっていて、高速高架下で直角に交わっている。この歩いてきた道と高架下の道が土手であり、川などの水路があったのではないだろうか。
既に暗渠化して川筋は見えなくなっているのか。ともかくグランドに下りてみようと、その時、野球場利用者の駐輪スペースに、黒くてぶっとい水道管が行く手に立ちはだかった。
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48_04.jpg 何やら汲み上げる装置のようなものもあり、この底部に水が流れているに違いない。
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48_06.jpg 野球場なので一部にフェンスが張られているのだが、フェンスの向こうは藪のようで木々が生い茂っている。気になって金網越しに目を凝らすと、ビンゴ、水路だ。
48_07.jpg 場所からして、もしや赤山城の堀跡ではないかとも思ったが、城址まではまだ距離がある。単なる灌漑用水路か。
これがなんなのか、なにかヒントになる痕跡がまだあるかもしれない。フェンスにそって歩みを進める。注意深く目を凝らしていると、え、石垣!?
48_08.jpg 用水に関する何かが埋まっているようなコンクリの頭が出た部分の奥、真新しい白さで流石に往時の城壁ではないだろうが、大谷石だろうか。

近づけないので悶々としたものを抱えたまま、先を急ぐことにする。
48_09.jpg 高架下とぶつかる地点で信号待ちをしていたら、観光地にあるような市が設置したと思しき案内板を発見した。
読んでみるとこれまた大ビンゴ! 赤山城の外堀だったのだ。
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48_11.jpg 石垣はさすがに後世に整備されたものだろうが、これにはチョット身震いするものがあった。
こんな幸先いいこと初めてかも。というわけで、これから赤山城へイザ参らん!
(続く…)

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