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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第20回 多万里おみやは風呂で待つ
〜赤線探し歩く銀座・南の銀座
刈部山本

大宮といえば東北新幹線も止まる埼玉県の中心的な街。ここを境に電車の本数が極端に減るという千葉駅同様東京近郊の典型的なターミナル駅となっている。だいぶ前から西口などはソニックシティなどに見られる再開発が進んでいるが、少し足を伸ばしただけでJR所有の空き地や旧街道沿いに旧家が連なる田園風景が今尚残っている。
とりわけ東口は氷川神社(総本山!)の参道として古くより栄えていたそうで、現在でも南銀(=南銀座)と呼ばれる繁華街は夜の帳が下りると怪しいネオンが閃きだす。となると嘗ては赤線や青線があったと勘ぐりたくなる。
赤線跡を歩く アマゾンへようこそ!

「赤線跡を歩く」
木村 聡 (著)
ちくま文庫
978-4480036858
税込価格998円

木村聡著『赤線跡を歩く』によると、埼玉は全国的に廃娼県として知られるほど遊廓街は殆どないとされていたが、実際は深谷や大宮に達磨屋と呼ばれる料理屋街が形成されていた。料理屋といっても建前上で実際は売春行為が行われているわけだが、公に認められた遊廓は公娼、モグリの類は私娼と分けられる中、大正8年に埼玉の主だった私娼は公娼となった。その内に大宮も含まれている。昭和31年の売春防止法により赤線は廃止され、料亭や旅館に鞍替えしたり、それらを装って売春を続けたりと、現在も風俗街やその周辺に面影を見出すことは出来るが、その名残は北銀座と呼ばれる大宮大栄橋以北のエリアにあるという。
現在も北銀座周辺には僅かにだが風俗店が点在しているが、街としての活気はとうに失われた印象が強い。北銀座は追って大々的に取り上げるとして、反面南銀は駅至近とあってフランチャイズチェーンの居酒屋が目立ち、歓楽街として賑わっている。こうなると嘗ては廓の類があったにせよ、壊滅状態である可能性が高い。ネット上で調べても南銀の赤線跡に関する記述は殆ど見られなかった。手元に資料がない上、確証はないが、それっぽい物件は眠っていた。

プラプラ駅東口から歩き出すと、いきなり、仲町というバス停の目の前に娼館らしき物件が残っていた!?

バス前物件ルーズ バス前物件たて

あまりにも早すぎる登場に驚きは隠せないが、赤線がこっちにまで広がっていた可能性は否めない。下見板張りの風化具合、細部の細かな意匠をみても戦前物件だろう。

バス前物件明り取り バス前物件細工

こんなもんが、しかも車通りの激しいところに残ってるとは…

これは期待できるぞと南銀の路地へと入ると、ロンドンロンドン愉快なロンドンが、改装かどうか知らないが、廃墟みたいになっている。

ロンドンひき ロンドンUP

そう広くもない南銀エリアをちょっとふらついただけで、赤線を髣髴とさせるような物件はこれ以外殆ど見受けられなかったものの、銅板の看板だけが生き残ってる酒屋とか、木造家屋、所々残っていた。

酒屋 蔦の家 バルコニー

南銀の裏手に高島屋があるのだが、その間に細い裏路地にそこだけ時が止まったような食堂がある。裏は風俗街、並びは錆びトタン、入口が銭湯のような宮作りの唐破風の物件が並んでいる。

多万里食堂脇トタン 多万里食堂脇宮作り 多万里入口

入店するとまさにそこは駅前食堂の世界。パイプ椅子は動かすと床のコンクリと擦れてギーッっていうし、まさに高島屋のお好み食堂がそのまま外に放り出されたかのような空間が広がっていた。

多万里メニュー

入口で食券買うシステムで、メニューは麺之部と飯之部に別れ、タンメンとかカツ丼などが揃っている。店奥から店員の割烹着来たオバチャンがやってきて、御代払ってカラフルなプラッチックの板を渡してくれる。

ラーメン(醤油)

ラーメン(醤油)¥480は皆さん期待通りのザ醤油ラーメン。やや甘めの醤油ダレで、あっさりというには動物系のコクがある。細くて柔らかい麺とあわせると、なんとも、十数年食べてなかった食感が口中を襲う。昔ながらのという形容がコレほど似つかわしいラーメンはないが、今の味覚にも物足りなさはない。チャーシューはご愛嬌だが、甘めのメンマといい、いやはや、絶滅危惧種ですわ。

塩ラーメン

塩ラーメン¥480がこれまた、まぁ凄い。強いて言えばサッポロ一番塩ら〜めん的味わいなのだが、マッタリ感を残しつつコショウの塩っからさが後からビンビン効いてくる。グタっとした麺との相性といい、食べてて不思議な気分になる。今現在、これを純粋においしいラーメンとして紹介することに一抹の不安を覚えるが、逆にここでしか味わえないかもしれないことに、稀少性を見出してしまう自分がいる。
食べ終えて外に出るとなんだか異界から現実に戻った気分。この日はたまたま麺類に集中してしまったが、カツ丼やチャーハンも楽しみにさせる味だった。
多万里

多万里食堂
11:30〜19:30
木曜休
さいたま市大宮区大門町1-69

高島屋の斜向かいに中央デパートという、「百貨店」なんて言葉が似合いそうな規模のデパートがある。嘗ては婦人服売り場やカルチャースクール、ゲームセンターにパターゴルフまで充実していた。

中央デパート1F

しかし今や1Fに小規模な婦人服売場を残すのみで、後はチェーンの居酒屋やフットサルコートに取って代わり、大部分をパチンコ屋に占拠されてしまった。往時の面影を残すのは交差点下を潜る、中央デパート入口へと続く地下通路のみとなってしまった。

地下入口

ここは飲食店などの商店の裏側を通る道で、薄暗く咽る臭い立ち込めるどんよりとした空間となっている。地上の交差点もさして信号待ちせず渡れるので、好き好んで地下を通るのは自分のような酔狂な輩しかいない。

地下の様子 レコードの残骸

久々に地下通路を抜け駅側に出ると、バス停が並ぶ場所に出る。最近は大宮からバス圏内に温泉の出るスーパー銭湯が増えて自分にはスパだけに今年最も熱いエリアとなっている。ここ7番のりばから「小さな旅 むさしの湯」へと向かう。
氷川神社参道を横切ってグングン東へ。旧道らしい商店の並ぶ道が続く。むさしの湯の並びは鄙びた昭和なパチンコ店があったりする。外観は一昔前の健康ランド的な風情ながら、館内はこじんまりと小奇麗にまとまっている。
風呂は2種類用意され、女性は奇数日が木の湯、偶数日が石の湯の日替わりとなっている。この日は男性が石の湯だった。ちょっと残念。
内湯はジャグジー・ジェット・サウナ・水風呂と必要最低限といった構成。露天はというと、屋外浴槽は全て温泉で、広めの露天と壷湯・低温スチームサウナ・寝床となっている。フェンスは高いし見晴らしは決してよくないが、ナトリウム-塩化物泉という湯は特別濃い泉質でもないのに、じんわりと肌にまとわり付くような感触を感じられ、源泉かけ流しという壷湯に至っては薄茶褐色をしたなかなか濃度のあるもの。温度もかなりヌルいから、平日の昼間など空いてる時間を狙えば相当まったりと長時間漬かれるはずだ。
湯上りはお休み処でごろ寝も可能。ちゃんと籐の枕が準備されているのが嬉しい。たくさん浴槽あったって全部に長時間いるわけじゃないんだから、ポイントさえはずさなければこれでいいんだよなぁ〜ということを再認識させられた。大きな目玉がない分、近所にあったら一番リピートし易いタイプの施設じゃないだろうか。

小さな旅 むさしの湯
平日10:00〜24:00 土日祝9:00〜24:00
月1休(HPにて公表)
さいたま市見沼区南中野422-1
大人 平日700円|休日800円
公式HP:http://www.musashinoyu.com/



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏に潜む古本喫茶を自営。レトロ少女マンガ・サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが揃う空間で最高品質の珈琲と自家製ケーキを持て成す。
ふるほん結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2008年 11月19日更新
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