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さえきあすか

その15 単衣名古屋帯の巻

 
単衣名古屋帯

 骨董市でアルバイトをすることがあります。先日も突然人数が不足しているといわれ、1日だけお手伝いをしました。

 思えば引越以来お金に余裕のない私は、骨董市にいっていません。なのでアルバイトとはいえ骨董市にいけるのは、ちょっと楽しみ。ひさしぶりに業者さんにお会いできるし、買えないまでも、古いモノたちを見ることができるのは、とても嬉しいことです。なんでもオモチャがメインのお店を手伝うとのこと。「がんばるぞぉ!」と、気合いをいれて早朝6時半に自宅を出発。ランラランと会場に向かいました。

 到着するやいなや、ラウンジ(コーヒーなど飲み物や、お弁当、パンを売る)で働いてほしいといわれ、いきなりポットに入ったコーヒーを運び、レジを運びと大忙し。お店を開いたとたんにお客様が列をつくってきてくださり、売り場には5人もいたのですが、てんやわんやの状況に! 

 その上、5人中3人がコンパニオンのお姉さん。折れそうなほど細くて、きれいな女性ですが、困ったことにコーヒーの入ったポットが、重たくて持てないのです。これには驚きました。常日頃、骨董屋さんの女性を見慣れている私にとって、女性といえども、箪笥や大きな家具を運ぶのは当たり前。それが、ごくごく普通のポットが持てないだなんて、人事ながら心配になってしまいます。‥‥なんて。ただ単に持つのが嫌だったんでしょうね。まぁ、ポットが持てなければ、持ってくれる男性と一緒になればいいのかな。

 そんな中で、もくもくと働いていたのがSさんです。元気いっぱいに大きな声で接客をしています。側から見ていて気持ちのいいくらい。ずいぶんとしっかりした女性なので、20代も後半の方かと思っていたら、なんと21歳(大変失礼しました)! これまたビックリしてしまいました。なんでも、ご両親が骨董屋さんで今回出店しておられるとか。

 「将来は骨董屋さんになるの?」と尋ねると、
 「もちろん骨董屋になりますよ!」と笑顔で、それも即答で返ってきました。
 「なにが好きなの?」
 「私は磁器が好きなんです」
 「磁器って、伊万里とか?」
 「えぇ、でも図変わりの印判も大好き」

 なんだか感激しちゃいました。21歳にして、なんてはっきりと自分の将来をいえるのでしょうか。それも骨董業界は、おもしろい方が多くて楽しいというのです。この意見、私も同感です! 古いモノをただ集めるだけなら、この趣味もこんなに長くは続かなかったと思うのです。10年以上も続いているのは、間違いなく個性的でおもしろい業者さんたちと知り合えたから‥‥。

 毎度のごとく、長々と話が横にずれてしまいました。

 今回はひとつだけ買いたいモノがありました。着物の帯です。そして、買うお店も決めていました。「伊万里本舗」という店名の着物をメインに取り扱った骨董屋さんです。「伊万里本舗」さんは、「銀座アンティーク・モール(代表:03-3535-2117)」の2階にお店があり、毎月28日に埼玉県川越市で開催される川越成田不動尊蚤の市をはじめ、骨董ジャンボリー、横浜骨董ワールドなど、さまざまな骨董市に出店しておられます。ご夫妻でやっておられるのですが、私はいつもお世話になっていながら、なにもお返しできずにいて、申し訳ないなぁとひそかに思っていたのです。なんせ私は着物に縁がなかったから‥‥。

 けれど今回は違います。着物の帯が欲しいのです。ついに着物を着るのかって? そういえば、デザイナーの女性で着物だけで生活している方がいて、あこがれた時期もあったっけ。会社の上司もいいます。
 「さえきちゃんは着物が似合うわよ。着物って細い人はあまり似合わないのよ」って。

 確かに着物にはあこがれていますが、着るために買うのではなくて、ちょっと前に鏡台を買ったので、鏡にかける布として帯が欲しいのでした。

 「鏡台に帯をかけたいの」
 「可愛いのにしなさいよ」
 「富士山とか‥‥よくない?」
 「やめなさいよ。鏡なんだから、明るくきれいなほうがいいわよ!」

 あーでもない、こーでもないというやりとりが何度もあって、ついに一枚の帯と目が合いました。

単衣名古屋帯

 「これ、なに? これよくない? 部屋のカーテンがトルコブルーなの! その前にこの帯ってステキじゃないかな?」
 「‥‥さえきちゃんらしい。目がチカチカする組み合わせだと思うけど」
 手にとったのは、オレンジと緑を主体に、すずらんなどお花が描かれたポップなデザインの帯です。

 「単衣名古屋帯ね。産地は桐生。昭和30年代の初期につくられた帯よ」
 「これにする! これ、これ。バイト代から支払っていい?」
 「いいわよ」
鏡台 「ありがとうございま〜す」

 と喜んでつれて帰り、早速鏡台にかけたのでした。私的には、とても似合うと思うのですが‥‥。いかがでしょう?

 アルバイトのほうはどうだったかというと、疲れました。珍しくカカトの高い靴をはいたために、帰りの電車の中では、つま先が痛くて痛くて、悲しかったです。でも、いろんな方に会えたし、楽しい1日となりました。Sさんとも、またの再会を約束したのはいうまでもありません。

 私がドタバタしているので誤解されると困るのですが、じっくり見れば骨董市は本当に楽しいですし、何回行っても新しい発見があります。参考に骨董市、骨董に関する書籍をご紹介したいと思います。

『第2回 横浜骨董ワールド ガイドブック』 『第2回 横浜骨董ワールド ガイドブック』 定価400円
 年に2回、横浜パシフィコの展示場で開催される「横浜骨董ワールド」では、開催期間中に会場にきてくださった方には、ガイドブックを無料で配布しています。ガイドブックといっても96ページと大冊で、「鑑定団」でおなじみの岩崎紘昌さんが監修をつとめ、最近ふたたび脚光をあびている内藤ルネさんの絵が表紙です。会場内の地図、出店者リスト、関東で開催される半年分の骨董市カレンダーもつき、その上記事も多く、楽しい冊子となっています。
 今回の号で私のオススメ記事は、ガラスビンを5万本以上蒐集しておられ、長年親しくおつきあいをしている、庄司太一さんが書かれた「精キ水」(キは金偏に奇という字)の記事です。なんと10ページと読みごたえがあり、ビンが好きな方は必見です。ちなみに私も「ペンギンのインキ壺」を紹介しています(2ページ)。
 次回は、2003年4月4日(金)から6日(日)まで開催されます。会場に行けないけど、ガイドブックが欲しいという方は、500円の切手を下記に送れば郵送してくれるそうです。お問合せください。
 横浜骨董ワールド事務局
 〒166-0004 東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-10-18 
 TEL:03-5932-6705 FAX:03-5938-0805
 HP:http://home.att.ne.jp/sigma/y-world/

『骨董ファン』 『骨董ファン』 定価1,000円
 こちらは年4回発行の書籍です。全国で開催される骨董市のカレンダーは、とっても便利。毎回いろいろな特集をくんで、楽しい誌面に仕上がっています。ご紹介する号は、女性骨董屋さんの特集で、個性的な方々のモノとのつき合い方に感心したり、あこがれたり。全国の書店にて購入できます。私は「掘り出し物日記」なる記事を創刊号から連載中。特集にそった記事を書けと、毎回編集長にいわれ苦戦していますが、読んでいただけると嬉しいです。
 骨董ファン編集部
 〒104-0061 東京都中央区銀座1-20-15
 TEL:03-3561-6035 FAX:03-5159-0717
 HP:http://www.antiques-jp.com

 『小さな蕾』 定価800円
 骨董を紹介した月刊誌です。編集者の宮島さんは最近急接近した方で、串間努さんと同じ歳。つまり同世代。気心が知れて一緒にお仕事をしていて楽しいのでした。優しい人なので、ついつい甘えてしまいます。実は最近連載がスタートしました。串間さんと私が隔月で登場しています。
『小さな蕾』 奇数月が串間さんで、タイトルが「少年少女 通販広告大図鑑」
 偶数月が私。タイトルが「あたたかな金属」。12月号ではアンチモニー製の犬のペン皿を紹介しています。毎回カメラマンの中神さん(彼も同世代)にわがままをいって、いろんな場所で撮影してもらってます。美しいカラー写真でモノが紹介できるのは、とっても嬉しい。こちらも全国の書店にて購入できます。お問合せは下記まで。
 創樹社美術出版 
 〒113-0034 東京都文京区湯島2-5-6 
 TEL:03-3816-3331 FAX:03-5684-8127

『遊楽』 『遊楽』 定価870円
 骨董を紹介した隔月誌です。ここの会社には何度も遊びにいってます。南青山という立地から、敷居の高い出版社かと思いきや、とてもアットホームな感じで大好きです。みんな優しいんだもん。こだわって撮った写真は美しく、楽しんで編集しておられるって感じの誌面なのでした。紹介する号は「沖縄の古陶」特集。青い海をバックにパナリ焼きの壷がステキです。全国の書店で買えます。お問い合わせは下記まで。
 むげん出版
 〒107-0062 東京都港区南青山2-4-6 クレセントプラザ206
 TEL:03-3408-2435 FAX:03-3408-2845

 ちなみに骨董雑誌は、骨董市に並ぶことがよくあるので、モノと本の両方をチェックしてみてください。


2003年1月27日更新
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その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
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その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
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その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
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