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「ガラクタ商店街」タイトル

その64
戦前の牛乳ビンは花瓶の巻
弓屋かえる堂さえきあすか

 青春18キップを使って、東京から鳥取まで1日で移動した経験は、ひたすら電車に乗り続けたせいか、私の中では強烈な旅として印象に残っています。とにかくお尻が痛かった。ずっと座っているのですから。岡山駅に着いた時にはお尻の感覚が麻痺していたっけ。真っ暗な山間を抜けていく伯備線の中では、たまたまお客さんがいなかったのをいいことに、ロングシートにゴロゴロしちゃいました(すみません。お尻が痛くて…)。最終便で無事に目的地へ到着した時には、達成感と安心した気持ちでいっぱいになったのをよく覚えています。
 当時の私は、格安キップで移動して、旅先で掘り出し物と思えるガラクタを探すこと。その土地産の牛乳を飲んでビンを持って帰ることが、とても好きでした。思い起こせば、下北沢にあるアンティークショップ『木曜館』で、戦前につくられた牛乳ビンに出会ったことが、牛乳ビンを集めはじめたきっかけのひとつ。
 「牛乳ビンにも歴史がある」
 そんな当たり前のことに感激したのです。小さなきっかけは、大きなパワーを生んで、牛乳ビン&戦前のガラクタたちは、次々と私のもとへやって来ました。

旅の記念は牛乳ビン
旅の記念は牛乳ビン

その子たちには、モノとしての存在感もありますが、同時に私自身の旅の記念でもあります。家にいるガラクタたちを手にすると、その時々の出会いの様子や空気の冷たさとか暑さまで浮かんでくるのですから、いかに気合いを入れてつれて帰ってきているかが、うかがい知れます。

 思うに、インターネットも携帯電話も、まだまだ普及していなくて、今ほど容易に情報が集めにくかった分、自分の太い足を武器にして、あっちこっちへ行き、その瞬間の出会い「発見」を素直に喜んだ、ほんの数年前のモノ探しのほうが、私は楽しかったような気がしています。
 さてさて、どうしてこんなことを思ったかというと、ゴールデンウィーク、自宅の大掃除をしたからです。高く積み上げたコレクションBOX?を開けてみると、出てきました。旅の記念につれて帰ったご当地の牛乳ビンと戦前の牛乳ビンが。よくもまぁ、こんなに重たいモノをせっせと運んだものです。 

戦前の牛乳ビンたち
戦前の牛乳ビンたち

色も形もいろいろ
色も形もいろいろ

 手に取ってみると、戦前のビンは気泡がいっぱい入ったイビツな形のモノが多く、色あいもマチマチ、形もマチマチで、量産されていない頃の手作りの素朴なあたたかさが伝わってきます。今はなき、京都の骨董鯨やのご主人が、
 「気泡の中には当時の空気が入っている」
 って、目を細めて気泡を眺めた姿を思い出しました。昭和初期の空気、確かに入っていると思うと、なんだかロマンチックですね。

気泡の中には昭和初期の空気が。
気泡の中には昭和初期の空気が。

 ひさしぶりに箱から出してもらった牛乳ビンたちは、なんだか嬉しそう。時々箱から取り出して眺めることは必要ですネ。気持ちが非日常へワープして、少しだけのんびりした気分になりますから。私は大きめの三島牛乳のビンを、しばらく花瓶に使おうと思いました。

 ところで、旅の記念といえば、最近加わったことがひとつあります。それは『御朱印帳』。もっと早く気づくべきでした。いまさらのスタートのような気もしますが、神社へお参りをした時に、神社の社務所で「御朱印をお願いします」といって、御朱印帳を差し出すと、社名の入った朱の印と、神社名、参拝日を墨で書いていただけるのです。なんだかありがたくて、精神衛生上にも、すごくいいことのような気がしています。ちなみに御朱印帳はいろいろな種類があるようで、少しずつ集めていきたいと思う今日この頃なのです。

牛乳ビンを花瓶に。
牛乳ビンを花瓶に。


2007年5月16日更新
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