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「秘密基地」タイトル

ソノシート
ソノシート
第12回「いじるな、子どもは、レコードを」の巻
朝日ソノラマ
日曜研究家串間努
 


 子どものころ、LPレコードをさわると怒られた。まずもって、怒られた。
 「指紋がつくからさわるな!」と。
 そして、レコードプレーヤーのアームをいじると怒られた。まずもって、怒られた。
 「要らんことするな!」と。
 その声に驚いて、アームを手放すと、「ギリッッー」と、レコード針が溝を外れて、いやな音を立てた。心も顔もが蒼白になって顔を上げると、レコード盤に引っかき傷がついていて、「ほら!」と、さもありなんと満足している親に怒られた。これがいまでも、トラウマになっていて、レコードプレーヤーのアームを上げたり下ろしたりができない体になってしまった。スパルタ教育の恐怖は人間を変える。

ソノシート
ソノシート
ソノシート

 昭和39年の東京オリンピック以降にレコードプレーヤーは家庭に普及したといわるが、それらは木製で、<家具としてのステレオ>という高価なものであったろう。高度経済成長時代にならなければ、普及しなかったというのは、おそらく昭和29年の段階で、ステレオ(電蓄)に物品税が100%もかけられていたからかもしれない。奢侈な物品であったのだ。ビンボー人はラジヲを聞けと。
 1970年代になると、価格もかなりこなれて来たのと、都市での一人暮らし青年が増えていた(集団就職または大学進学)ので、ステレオやレコードプレーヤーはかなり普及していた。「てんとう虫の形を模したポータブルレコードプレーヤー(モノラルである)」が子ども向けに日本コロムビアから発売されたのもこの頃で、同社は童謡やテレビまんがのレコードに「コロちゃん」という愛称のキャラクタをくっつけていたことを思い出す。もはや一人に一台のような時代で、中高生がコンポやBCLラジオを持っているのと同じくらい、当たり前のモノになっていた。

ソノシート
ソノシート
ソノシート

 本屋やレコード屋にいくと、ソノシートがたくさん売っていた。親はロスプリモスや都はるみの演歌系を聞いていたが、私はアニメや童謡モノだ。ブック式でたくさんのソノシートが入っており、絵本仕立てで解説や歌詞、メインのイラストとともに綴じられていた。一冊に六枚も八枚もソノシートがついているものだから、聴き終わったあとにすべて袋に戻すのが面倒くさかった。しかもジャケットまで、ビニール袋に入れなくてはならない。何回も聴いていると、本が膨らんでくるので、キチキチのビニール袋に入れるのが大変だった(スパルタ教育なので、きちんと外ビニール袋まで戻さなくてはいけないのだ)。主にアニメや特撮の主題歌を覚えるために聴いていたが、中にはドラマ仕立てのものがあった。いまでも覚えているのが、青い怪獣アボラスと赤い怪獣バニラの戦いのものだ。テレビとはまた違ったドラマだったので、なんだか得をしたような気になった。目で活字を読んだり、絵をみつつ、音を聞く。いま流行の言葉でいえば、マルチメディア(それもアナログな)のはしりかも知れない。

朝日ソノラマ
朝日ソノラマ
朝日ソノラマ

KODAMA ソノシートは学習雑誌や『少年』の付録にもついていたメディアであったが、これはもともと、おフランス生まれである。フランスのソノプレス社と朝日新聞社が提携して作った「朝日ソノプレス社(現・朝日ソノラマ)」が昭和34年に日本で発売したのがはしりだ。「ソノ」とは、ラテン語の「sonus」(音)が語源で英語では「SONOROUS」(鳴り響く)になる。日本の「ソニー」もここからきているのだろう。
 薄くてぺらぺらのソノシートを雑誌にはさんで、「ソ連のロケットの音」など、時代の音や、有名人の肉声が聴けるのが、総合報道誌「月刊 朝日ソノラマ」であった。コダマプレスという会社もソノシートをつけたメディアを発行していた。 当時のソノシート(一般名称はシートレコード/フィルムレコード)発売業者は、現在判明しているのでは以下の通りだ。
 朝日ソノラマ/コダマプレス/日本コロムビア/ビクター/現代芸術社/ケイブンシャ/ソノレコード/エルム/ミュージックグラフ/サン企画。

朝日ソノラマ
朝日ソノラマ
朝日ソノラマ

 しかし昭和39年の東京オリンピックをきっかけに普及しだしたテレビに押され、音の出る雑誌の人気はいったん落ちていく。その苦境をすくったのはほかならぬテレビであった。テレビが放映する人気アニメや特撮など、子ども向け番組のソノシート化があたり、再びブームがやってきたのだ。
 だが、カセットテープ、CD、ビデオと、メディアが進化したきたので、レコード産業そのものと一緒にメディアとしての人気はなくなっていく。
ソノシート ソノシートは33・3分の1回転が主流で一部に45回転がある。半端な33・3分の1回転というのは、どうも調べてみると、映画の画面と同期をとるため中途半端な回転数になったようだ。計算式はしらない。色は赤や青をよく目にしていたが、緑や黄色、さらには透明のものもあったという。
 カルピス(じゃないな。スポンサーの関係でいうと不二家の『ハイカップ』か)を飲んで王冠を送ると、「オバQ音頭」のソノシートが送られてきたことがある。週刊誌にも付録でついていた。インターネットも携帯着メロもない時代、耳で聞ける音声メディアのソノシートは、手軽なツールであったのだ。

書きおろし朝日ソノラマ


2003年10月21日更新
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