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「珍商売」タイトル

串間努

第1回「ガセミツ(偽エロ写真売り)」の巻


 むかしは、当今からは想像もできない、奇天烈な商売があったもんでした。果たしてそんな細かい手段で食べていけるのか、傍観者のこちらが心配になるような隙間産業もありますが、この番組ではそんな珍仕事や奇商売を紹介してまいります。のどかで人心のふところが広い時代だったころの奇手妙策を堪能してください。

 まずは昭和20年代、「ガセミツ」という商売です。これは男性の本能を利用した、偽のエロ写真売りでございます。
 「ガセ」はニセモノのことで、「ミツ」というのは秘密の「ミツ」で春画などを指します。
 つまりニセモノを春画らしくみせかけて売るインチキ商売なんです。
 もちろん営業店舗はありません。街角に商売人が立っています。カモになりそうな男の通行人が通ると、足音も密やかに近づいていき、声をかけます。
「ダンナ、ダンナ」
「ナンダ、ナンダ」
「面白いものがありますよ」
 と持ちかけて、手にもった風呂敷包みから印刷物をとり出し、人目をはばかるようにあたりをうかがいながら、パラパラと絵や写真をみくってみせます。手にしたのは彩色された春画で、男女がくんずほぐれつの姿態をみせています。
「いくらだ」
「二十円でもめつたに買えませんが、今日はもうこれだけしか無いので、一部十円に
して置きましょう」
「そうか」
 てな具合で、渡された袋をしまって家路を急ぎます。ふすまを締め切って、家人がいないところで興奮しながら封筒を開けてみると……。なんとそこには、男と女が角力をとっていたり、運動競技をしている絵が描いてあるだけなのでございます。
 インチキ春画やエロ写真のほか、昭和20年代30年代は、街角でモノホンのエロ写真や彩色エロ画も売られていたようです。つげ義春の作品「義夫の青春」にも、湯河原のお土産屋さんに彩色エロ画を納品する話がでてまいります。お土産屋さんのおばさんの「本物にかなうかしら」という台詞から、以前からエロ写真売りもあったことがわかります。温泉とエロは結びつきやすいようで、温泉地にストリップ劇場があったり、春画や張り型が展示してある秘宝館が、現在もあるのがその名残ではないでしょうか。
 ガセミツは最近まで、形を変えて生き残っています。
 エロ雑誌や男性週刊誌に「私の恥ずかしい写真売ります」という広告が載っているのをみたことがあるでしょう。
 これがガセミツでして、「恥ずかしい写真」というコピーがみそです。これまで見つかったケースでは、送られてくる写真は、
 ・フルートを吹いてる写真
 ・着衣のままの女性が道で転んでいる写真
 ・おばあさんが鼻クソをほじくっている写真
 が報告されています。
 ガセミツも、もはやアダルトビデオの時代になり、さらにはインターネットでエロ画像がダウンロードできるようなこんにちでは、メディアの進歩とはいえ隔世の感がありますなー。


関連書籍
http://www.seikyusha.co.jp/books/ISBN4-7872-7054-0.html


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