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「蕩尽日録」タイトル

南陀楼綾繁

7月某日 週末ノ三日間、熱暑ノナカ古書展ヲ巡回スル事【後編】


 そして日曜日。金、土もアツかったが、今日も外に出た瞬間、たまらなく暑い。とたんに、「ヤメようかな」と日和見気分に陥るが、こういうときに出かけないと、あとで行けばヨカッタと思うに決まってるので、から元気を出して駅に向かう。新宿で乗り換えて、高円寺の古書会館へ。いつもは午後に行くのだが、今日は10時の開場時間よりも前に到着。ほかに客の姿は見えず。

高円寺の古書会館

 また中には入れないので、外台を見て回る。低い高さの台に、単行本も文庫も雑誌もごたごたに積んである。ひとつ山をどけては下の本を掘り出したり、しゃがみこんで台の下の本を取り出したり、としていると、すっかり汗だくになってしまう。古嶋義英『日常法律 是丈は心得置かれよ』(大盛堂書店、昭和2年) 500円を見つける。この題名は、いまぼくが調べている「大正の何でも博士」加藤美崙(よしみち)「是丈は心得置くべし」シリーズの堂々たる盗用。「是丈は心得置くべし」は大正初期のベストセラーなのだが、この時期にも重版を重ねていたはずなのだけど。タイトルの便乗商法はいまも昔も変わらないなぁ。10分ほど経過すると、一番乗りだったハズなのに、もう十人ほどが外台を漁っている。見事なほどに男ばっかり。古書「店」には女性が入ることがあっても、古書「展」というのは、ともかくもう「男の世界」なのである。イヤだなあ。

 10時に入り口のサッシが開けられるや、すばやく中に入り、荷物を預けて会場を回る。神保町、五反田に比べて、高円寺の棚と棚との間はとても狭いのだが、今日みたいにヒトが少ないと落ち着いて見て回れる。いつもより時間をかけて丹念に見て、堀内新泉『良人百癖』(文新社、昭和10年)1000円、古山高麗雄『岸田國士と私』〈新潮社)500円など数冊を手にする。帰り際に見つけたのが、趣味雑誌『飛鴻』の昭和4年分。紐が掛けてあったのだが、1000円だったから中身も見ずに買う。ウチに帰ってから中を見たら、マッチラベルや切手の現物が多く貼り込まれていた。コレはなかなかの拾い物。

 電車に乗って総武線の東中野で降りる。たしか、駅の近くに〈ブックオフ〉があったと思う。大通りに出たところで発見し、ナカを覗く。最近、ブックオフも店によって品揃えに開きがあるというコトが判ってきたが、ココはほかの店では置かないような1970年代の文庫や単行本が見つかる。昔の『ガロ』系マンガも相当あったぞ。バラのマンガを10冊ほど買って店を出る。昨日に続き、今日もすでに大荷物。

 新宿にたどり着き、京王デパートの古書市へ。毎度思うのだけど、デパートの催し物会場のある階って、どうも売れそうに見えない店ばっかり入ってる。どうせ買わないけど。さっき古書展は「男の世界」だと書いたけど、デパートの古書市はまたちょっと事情が違い、妙齢の女性(おばさんとも云うが)がけっこう多いのだ。まあ、旦那が見たいから仕方なくついてきたというヒトもいるみたいだけど。
雑誌『絶対絶命』 デパート市はやたらと広いから、あまり気を入れてみると、端に着くころにはつかれきってしまう。ちょっと斜め見ぐらいで回るコトにしている。それでも、花森安治装丁の古屋綱武『働く女性のために』(河出新書)、内田誠『いかるがの巣』〈石原求龍堂、昭和18年)、田中小実昌『ポロポロ』〈中央公論社)などを各500円で見つける。あと一冊、イイ本を見つけたら、回るのをヤメて帰ろうと思ったところに、雑誌『絶対絶命』が1977年10月の創刊号も含め3冊、一冊500円で出ている。この雑誌、あと数冊で揃うのだ。やったあ。気を良くしたので、自分との約束を反故にして、その後、けっきょく全部回ってしまった。

 夕方にウチに帰り、仕事に取り掛かろうとしたが、この三日間で買った本を整理するほうが忙しくて、できなかった(逃避ですな)。数えてみたら、古書展三カ所とデパート市1カ所とブックオフ3カ所で買った本・雑誌・マンガは、合計 80冊以上。コレが熱暑の三日間で得た成果なのだった。いつ読むんだよ……。


2002年10月17日更新
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7月某日 週末ノ三日間、熱暑ノナカ古書展ヲ巡回スル事【中編】
7月某日 週末ノ三日間、熱暑ノナカ古書展ヲ巡回スル事【前編】
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