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「まぼろし書店」タイトル

店長神保和香子

 『あのころの風景』
(著者の方々の敬称は略させていただきました/商品の価格は本体価格)


 まぼろしチャンネルの読者の皆様、初めまして。
 「まぼろし書店・神保町店」の店長、神保和香子と申します。
 書店員生活十うん年の経験を活かして、 「まぼろしチャンネル」ファンにぴったりの本を様々なジャンルから紹介していきたいと思っています。

 記念すべき第一回は「当時を知る人びとには懐かしく、そうでない人にも懐かしい!」昭和の風景を思い起こさせてくれる本を集めてみました。
 昭和の街並みなどをテーマとした写真集は、加藤嶺夫の著作をはじめとして、素敵な本がたくさん出版されていますが、衝動買いするにはややお高い商品が多いのです。今回は、購入しやすいお値段で、気軽に楽しめるものを中心にご紹介します。

「三丁目の夕日クラフトブック」 アマゾンへようこそ!

「三丁目の夕日クラフトブック」
西岸 良平
小学館
4-09-103528-0
\1,238

 こんな楽しい本があったとは…!「商売を抜きにして」感銘を受けてしまった本です。
 西岸良平といえば、「三丁目の夕日」「鎌倉ものがたり」などのノスタルジックな作風で多くのファンを持つマンガ家。まぼろしチャンネル読者の方々にもお馴染みの作家さんかと思います。
 そんな西岸良平の暖かい持ち味を最大に活かして、「昭和の楽しい記憶」をクラフトブックとして封じ込めたのがこの本です。
 「昭和30年代一冊まるごとペーパークラフト!!」という唄い文句は伊達ではないのです。
 クラフトとしては、「家具ごと再現できる木造家屋/鈴木オート店」「スバル360(もちろん前期型)」「ダイハツ・ミゼット」。さらに野球ゲーム、紙とんぼ、トントン紙相撲、特製メンコなどで遊べるのです。特製メンコはちゃんと厚紙に印刷されていて実用に耐える作りなのが素晴らしい。
 精鋭編集スタッフたちが強引に上司を説得し、損得勘定抜きでやりたい放題に作り上げたに違いありません。書店員として自信を持ってお勧めできる一冊です。

 これからの3册はどれも小さなサイズの写真集です。気軽に見られるので、ごろ寝しながらでもほんわか気分にひたれますよ。

「土門拳/腕白小僧がいた」 アマゾンへようこそ!

「土門拳/腕白小僧がいた」
土門拳
小学館文庫
4-09-411425-4
\790

 土門拳っていうと仏像とか古寺の写真家?エライひと?という私の一般常識的先入観を取り払ってくれた「暖かい一冊」。そもそも土門拳は、戦前に報道写真家として子供たちの写真を撮り始めた方だったのですね。この本を読むまで知りませんでした、お恥ずかしい…。
 1950年代の下町の子供たち、道端で生き生きと遊ぶ姿、その一瞬を切り取った写真群。どの写真を観ても描かれた子供たちの様子に、暖かい心持ちになる自分を感じて不思議に思う位です。どうしてこの頃の子供たちはこんなにも元気でエネルギーに満ちあふれているのだろう。
 私の特にお気に入りなのは「とかげ」と題された一枚。坊主頭に小さなトカゲを乗せて、はにかみ笑いを見せる男の子。仲間達は腹を抱えて大笑いしています。はにかみながらも少し得意げな主人公の少年の笑顔と、坊主頭の美しい頭蓋骨ラインがたまりません〜!
 みんなの遊び場は「道端」か「原っぱ」。ワカメちゃんのようにおかっぱ頭の女の子達。弟や妹を背負っている子もいるし、着ている物はどの子もお母さんのお手製。家が貧しかったり、病気がちな家族がいたり、それぞれ苦労をかかえているかもしれないけれど、遊んでいる時は、余計な事は考えない。ひたすら遊ぶ。遊ぶ子供たちみんなの「眼の力が強い」のは、だからかもしれません。

「さっちん」 アマゾンへようこそ!

「さっちん」
荒木経惟
新潮社(フォト・ミュゼ)
4-10-602405-5
\1,553

 あのアラーキーのデビュー作。「さっちん」とその仲間の子供たちの遊び回る様子をアラーキーは本当に嬉しそうに撮っています。声が大きい、お腹も出てるし、ハナも出てる。とにかくみんな暴れ回っているので、フレームからはみ出している。カメラに気付くと恥ずかしくて絶対変な顔をしてみせる。これでもかっていう程に強烈な顔。
 1963年頃の三河島団地の子供達、さっちんは当時小学4年生だったそうです。

「昭和恋々 あのころ、こんな暮らしがあった」 アマゾンへようこそ!

「昭和恋々
 あのころ、こんな暮らしがあった」
山本夏彦/久世光彦
文春文庫
4-16-735215-X
\676

 さらにもう1册、しみじみ楽しめる写真集をご紹介します。
 山本夏彦、久世光彦の名文家二人のエッセイも素晴らしいのですが、60点以上の写真が何とも味わい深い。割烹着姿のお母さんや露地の子供達…私自身の母は割烹着なんて着た事ありませんでしたけれど。
 
 最後に登場するのは少しだけ風変わりな小さな画集。

「東京 夜の町角」 アマゾンへようこそ!

「東京 夜の町角」
安住孝史
河出文庫
4-309-40643-2
\720

 鉛筆で細密に描写された「夜の東京」の画集です。 
 北千住のおばけえんとつ、恵比寿のビール工場、四谷土手、花やしき、上中里不動尊、上野駅、などなど。元々画家である著者がタクシー運転手をしながら描きためた作品群には、夜の風景なので人の姿はほとんどありませんが、「街の匂い」が濃厚に漂います。
 私がどうしてこの画集が好きかと言うと、第一に白黒だから。そして、著者のお気に入りであろう光景が、鉛筆で細かく、細かく(愚直なまでに)丁寧に、描かれている点も気に入っています。才気走った所など全く無いのですが、確信犯的なテーマ選択と構図で「近い将来失われてしまうかもしれないけれど、決して忘れたく無い光景」を記録しているのです。

 第一回『あのころの風景』、いかがでしたか。
 皆様からのご質問、ご要望など、お便りをお待ちしております。
 どうぞ、これから末永く「まぼろし書店・神保町店」をよろしくお願いいたします。


2004年3月19日放送開始
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com まで


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