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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第10回 魁!!水道道〜ローレンローゼン和田町星川

刈部山本

今回はいきなりクエスチョン。水道の蛇口をひねると水が当たり前のように出てくるようになったのは何年くらい前からでしょう? 正解は120年前とされている。河川から汲み上げた水を濾過して鉄の配管を通して圧力で給水する、つまり現在我々が使っている水道のシステムを近代水道と呼ぶらしいが、最初に近代水道を敷設したのが神奈川県で、イギリスから技師H.S.パーマーっていうオッサンを1885年に呼んできて、なんと2年で相模川の上流から水道を引っ張ってきてしまった。その1887年から今年は120年目に当たるというわけ。
で、水道がどうしたんだっていう話だが、そうした水道の歴史は日本の近代化の歴史でもあり、100年以上前から続く水道に関する施設には近代建築として非常に興味深いものが多い。とりわけ横浜は煉瓦造の建造物も現存するということで、横浜は桜木町でレンタサイクル「海チャリ」を借り、相鉄線に沿って上星川を目指す。

と、今回は遠征とあってまずは腹ごしらえ。一駅手前の和田町にある。通勤用か二俣川までノンストップの急行が多く、和田町は各駅しか止まらない。この格差社会は如何なものかと以前から思っていたのだが、この日はじめて自転車で移動して納得。各駅区間、基本的に短いのだ。旧街道のような景色で、細い道に車の往来が激しかったが、なんとなく街の歴史が垣間見られて面白かった。
そんな細い道の脇、つけ麺が評判の店がここ魁。

つけめん@魁

先ずは麺を…とそのまま一口啜ってみたら、むむむっ!?ゴワッとしたパワフル麺なのに食むと弾力があって、なんだこれ、うめぇ〜!! 粉の風味が感じられると思うとツルンと喉越しよく食べられてしまう。
つけ汁は動物系と魚介系のWスープながら、ちょっと苦みもあって、方向としては辛め。動物系の粘性はさほどないけど、飲み応えがある。スープ割りはなんと電気ポット に!

魁外観

麺どころ 魁
11:30〜14:30/18:00〜21:00
定休;月曜
横浜市保土ヶ谷区星川3-7-27
※時間等変更の場合があります
詳細なレポは著者ブログ記事参照

予想以上に満足でき、さてパワーチャージしたところで、上星川駅の南側に急な坂道が続く。地図上でいうとこの坂の上が目的地のはずなのだが、いざ登り始めると一向に急坂が終わらない。見上げるは延々と続く坂坂坂。げっ、地図にある1kmほどの道、ずっと坂道!? つけめんパワーをもってしても自転車をこぎ続けられず、途中遂に断念し自転車を下りる。恐らく山なのだろう。その頂上付近に大きな鉄塔が見えてきた。

工事中
口

改めて正門ゲートをくぐると、フェンス向こうにレンガ造のゲル(モンゴル遊牧民の住居)くらいのサイズの可愛らしい建物が見える。

レンガゲル

1887年に引かれた相模原市津久井町〜鶴ケ峰〜野毛山配水池と繋がる水道管の間で、西谷浄水場は鶴ヶ峰のチョイ野毛山よりに位置している。浄水場や貯水池が次々と出来た中で、1915年にここ西谷浄水場は完成している。そうすると、このレンガ建築は当時からのものだろうか。見た目には新しいレンガに見える。ベースはそのままに作り変えているのかもしれない。これに対する案内板は愚か、フェンスで遮られとにかく詳細がつかめない。観測所的なものだろうか、それすらもわからない。一般開放日でもあるのだろうか。折角の建造物がこれでは死に体である(って本来の目的は鑑賞じゃないんだけどね)。
しかしこれで終わってはなんのためにあんな坂を登ってきたのかわからない。一般も入れる遊歩道のようなスペースには近代水道120年の間で活躍した工事などに用いられた歴史的設備が箱根彫刻の森美術館のようにオブジェ的に放置(失礼!)されている。これらには解説には付けられており、導水加圧ポンプだとか、ルーツ型75馬力送風機、逆支弁(実はコレが特許!…ではなく)といったものらしいが、その赤錆具合とともに機能美に満ちたフォルムが廃墟趣味・スチームパンク趣味的で見る人が見たら相当熱いんではないだろうか(アニメ『装甲騎兵ボトムズ』好きならきっと)。食い入るようにデジカメを構える自分はかなり危なく映ったと思う。解説抜きにいくつか列挙しよう。

導水加圧ポンプ

転鐶彎管

逆支弁

途中、坂を登るときに見えた鉄塔の袂が見えたのだが、地上部真下に監視小屋のような建物があり、屋根の下の部分の模様が波打ち、なかなか凝った年代を感じされるもので内部が気になるところだ。

鉄塔下

鉄塔の脇に敷地に背を向けるように配されたベンチがあり、ここから横浜の街が一望できるようになっている。壮観な見晴らしで坂の急さ加減も思い起こされる。

横浜一望

また敷地内には水道記念館と資料館が併設されているのだが、とにかく暗く、資料的には興味深いのだが、人っ子一人いない中、モーター音のようなものが低く響くだけのダークな空間は恐怖に押し潰されそうで長居出来なかった。折角レンガ建築とか水道オブジェがあるのだからここで引き付けないと! これが箱物の限界なのだろうか?

思いがけない収穫には満足したものの、なんだか煮え切らない思いを抱えたまま浄水場を後に坂をビヤーッと下る。下り切った所、上星川駅南側に満天の湯というスーパー温泉銭湯がある。駅のすぐという好立地にあるからか、平日の昼下がりでも結構な集客。平日600円とはなかなかリーズナブル。脱衣場のロッカーも大きめで数もそこそこ。洗い場は壁に面した部分だけが個々に仕切られており、隣客のシャワーの飛び散りを気にしなくて良い親切設計。
内湯もあるが温泉は露天のみ。岩風呂が2つに仕切られ一つの壁面にジェットが。試しに浸かって見ると、首を落ち着かせるところがない。残念。温泉自体は黒湯の部類ながらだいぶ透明度が高い。塩素臭はあまり気にならない程度で、まぁ濃い!効く!って感じではないものの、適度にヌメリがあって、思いのほか温まる。岩風呂も岩の配置がイマヒトツで首が落ち着かなかったし、露天の温度は42度ほどで長く浸っていると結構アツい。温め長風呂派としてはこれは痛い。
実はここ、ゴロ寝施設が充実しており、8人分も確保されている。2種類あり、1つはフツーにスノコ状のものだが、もう一つは畳敷きでなんと薄〜くお湯が張っている。湯は温泉でないもののかけ流し状態。これがスコブル塩梅がよく混雑時は一人15分までという注意書きも納得である。贅沢を言えば、温泉でで源泉かけ流しだったら文句ない。加圧しなくても40度近い温度があり、湯量も豊富なところでは是非設置して欲しいところだ。

満天の湯

満天の湯
10:00〜25:00
定休:年中無休
横浜市保土ケ谷区上星川3-1-1
※時間等変更の場合があります
公式サイト:満天の湯

自転車でかいた汗を拭うには快適な施設だった。全体的にシンプルでムダに凝っていないのも好感が持てた。サイクリングとラーメンのセットにはもってこいではないだろうか。小さなエリアの中に好きなものがいい感じで配置されていて、非常に心地よい気分でユルユルと横浜へと岐路に着いた。またもや、う〜ん満足!



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏に潜む古本喫茶を自営。レトロ少女マンガ・サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが揃う空間で最高品質の珈琲と自家製ケーキを持て成す。
ふるほん結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2007年 11月14日更新
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