「まぼろしチャンネル」の扉へ
「番組表」へ 「復刻ch」へ 「教育的ch」へ 「東京カリスマch」へ 「日曜研究家ch」へ 「あった、あったch」へ 「再放送」へ 「ネット局」へ
ら〜めん路漫避行
まぼろし書店・神保町店
少女漫画 ふろくの花園
帝都逍遙蕩尽日録
定食ニッポン
駅前ガラクタ商店街
日本絶滅紀行
怪獣千一夜
秘宝館

「ら〜めん路漫避行」タイトル

第29回 みのめんたの逆襲〜
王子のキツイねモノレール
刈部山本

1回跨いで今回も北区王子は飛鳥山。第27回の終了地点からの続き。

さくら新道のところでJR王子駅の高架下に出る。ちょうど飛鳥山に沿って明治通りが急カーブしている。この坂は相当な急勾配で、都電荒川線も併走するのだが、軋む音を上げ一所懸命上る様が健気だ。

飛鳥山の急坂の都電

実は最近、自動車と都電に加えてもう一つ、新たな交通手段が加わった。今回はそのレポートをしたいのだが、その前に腹ごしらえ。写真では都電に隠れてしまっているが、明治通りを挟んだ向かいに、かなり脱力系の名のつけ麺屋があるのだ。
みのめんた外観

みのめんた
11:30〜24:00
(土日祝22:00まで) 無休
北区王子1-2-2

以前は牛骨ラーメンの店が入っていたが、BSEの騒ぎで撤退。ほぼ居抜きの状態でみのめんたが入った。この手のダジャレ系の店は地方の街道沿いなんかで時々見かけるが、目を引くことばかり考えて味がついていけてないことが殆ど。しかしここはかなりしっかりとしたつけ麺を出しており、最初そのギャップに驚いたものだった。

つけめん

並盛200gも中盛300gも同料金の麺は、やや平べったい太麺でシャキッと水で締められて、中盛りでもスルスル食べられる。
酢の利いた甘みのあるつけ汁は非常に食べやすいが、動物ダシがしっかり出ていて物足りなさはない。ちょっと酢が苦手な向きには辛いかもしれないが、挽肉が大量に投入されており、甘さとコクが絶妙なバランスで飽きさせない。
余ったつけ汁を最後スープで割ると、飲み干すときに挽肉がドバドバっと口中に入ってくる。これが堪らない!
夜営業のみ供される夜だけつけ麺なるメニューがあり、¥900と値は張るが野菜炒めがたっぷりと投入されており、つけ汁もマイルドに変化する。

夜だけつけめん

ここならではのスープの味わいはやや引っ込んでしまうものの、やや辛めの味付けは酒を飲んだ胃にもサッと入り、しかも野菜でさりげない優しさも演出。夜だけと聞くとガッツリしたメニューを想像してしまうが、遅い時間まで営業していることもあってなんとも心憎いメニューとなっている。

さてモノレールに戻ろう。今年の7月に完成したばかりで、飛鳥山公園入口から飛鳥山山頂の間、48mを2分で結んでいる。東京都区内とはいえ結構な高さを誇る山だけあって、障害のある方や高齢者には登るのがシンドイから設置されたと思われる。

飛鳥山公園入口

入口は真新しくいかにも行政モノといった風情で、モノレールの駅というほど仰々しくもなく、丁度エレベーターとモノレールの中間といった様相。自走式で本来ならばボタンを押せばエレベーターのように黙っててもやってくるのだが、上にも下にも専門のオッチャンが待機しており、人数や頃合を見計らってボタン操作をしてくれる。
暫く待つと殆ど無音で降りてきた。

モノレール車体

電車といっていいかわからないが、実態は斜行エレベーターであり、区分としては鉄道ではないので鉄道事業法は適用されない。遊園地などの遊覧列車や簡易ケーブルカーなどと一緒の擬似鉄道といったところか。こうした遊覧鉄道の類にもファンがついており、こちらも早速一部で話題になったようだ。
建設したのは嘉穂製作所というところで、テーマパークや温泉などにあるモノレールを多数手がけているらしい。飛鳥山モノレールが動いているのはラック(歯竿)&ピニオン(円形小歯車)という方式らしく、レールにあるラックに駆動する車体側のピニオンが引っかかって駆動しているという【北区HPにあるPDF:飛鳥山公園モノレールの概要より】。
毎分30mの速さでみるみるうちに上昇する。標高差17mとはいえ、なかなかの眺望だ。

車内から

昔は飛鳥山の頂上に展望タワーがあり池袋から赤羽あたりまで一望できたそうだが、北とぴあというビルに役割を取って代わられた。

北とぴあ

椅子は6席あり、立ち乗りスペースが10人程で定員は16人となっている。この車内の様子を撮影したとき、丁度その北とぴあが見えたが、以前はこんな感じで王子の町を見下ろせたのだろう。これに乗る前は感じられなかった景色だ。

王子眺望

頂上付近は春の頃は花見で大賑わい。落語に「長屋の花見」など飛鳥山の桜が舞台となる噺があるほど古くからの花見の名所。今年撮った写真を載せておこう。

花見

ならば春にこの記事を更新すればよいと思われるかもしれないが、モノレールがまだなかった故。一応鉄道つながりということで、この先、飛鳥山3つの博物館の対面にこども広場のような小児向けの遊戯スペースがあるのだが、ここに展示されているのが旧式の都電。

都電6080

6000形と呼ばれる車両で1949年製。一緒に1943年製のD51機関車も展示されている。両者中に入れることもあっていつも子供のはしゃぐ声がこだましている。
6000形は10年ほど前まで都電の日などに運転され、貸切運用もされていたが、今では車庫での静態展示に留まっている。

都電6152

一球さん号の愛称で親しまれたそれはクリーム地に濃いグリーンのペイントが施され、中は一部木製でそれは愛着を覚える車体だったが(下写真は飛鳥山のもの。座席はベンチに変更されている)、現在飛鳥山にあるものは2005年に修復と再塗装が施されているのだそうだ。

都電内部

以前は雨ざらしで酷い保存状態だったと聞く【参照:飛鳥山公園Wikipedia東京都交通局他】。
このオレンジのカラーは緑になる前の塗装で、荒川線以外にも都区内を縦横無尽に走っていた頃のカラーリングで、往時を知る方は哀愁を覚えることだろう。

こうして今現在、嘗ての都電が保存される近くを最新のモノレールが走り、その横を現役の都電がエッチラオッチラ坂を登っているというなんとも不思議な光景に出会うことが出来るのも、これまた幸せなことなのかもしれない。



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2009年 10月 日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com まで


第28回 さよなら人類たまテック〜先天よい子は家族の肖像
第27回 チャムスの卵あたためて〜青淵って何だあの飛鳥山
第26回 検見川ブラザーズを送信せよ〜新潟を見出さレンダー
第25回 つけに胸キュン〜鴻巣雷電から17号温泉
第24回 安納土佐っ子後にして〜戸田公園の焼き芋と背脂
第23回 暗黒蘇我工場のブルース〜JFE製鉄所解体現場レポ
第22回 暗闇坂せあぶら変化〜麻布坂一番勝負
第21回 勢得蘇るよ…衛生廠ぉエイセイショー〜馬事公苑界隈戦跡巡り
第20回 多万里おみやは風呂で待つ〜赤線探し歩く銀座・南の銀座
第19回 成田を駈ける肉を見た〜湯当り自販機バーガー旅
第18回 平和島ランプはヒゲジロウのサイン〜Enjoy!天狗湯
第17回 赤き看板のイレブン〜団地・オブ・サマーサイド
第16回 アルプスの屠場〜芝浦いれぶんの弟子とレインボーコネクション
第15回 小川秘境のウズマキナルト〜軍跡に北海道ラーメン
第14回 水道リベンジ〜もぐりのワーダーボリック給水所
第13回 墨東デジャヴ〜雑貨繚乱!団地テナントのみとうし
第12回 千住のいじわる〜菊やもココ!
第11回 あーおかめ市〜大嫌い…でも大好きよ川口マイライブ
第10回 魁!!水道道〜ローレンローゼン和田町星川
第9回 未来こうかい〜ぼーっと銭湯で深川清澄
第8回 村山武蔵は死んでない!ホープかなえたまえ
第7回 美春かす柏ビレッジピープル〜In The Army
第6回 南国行きで首里えい航〜チョッチュ残念和田堀給水所
第5回 港町お風呂町海老づくし〜複合施設に桜サク、そして日は昇る
第4回 金町にタコをみた!〜割とやる阿明
第3回 おはるおばさん逢いに行くよ〜若造も紛れ込め!深川・佐賀界隈
第2回 夜桜まるき後日談〜でぃ・とみ田ぁ・とぅもろぉ
第1回 夜桜まるき〜松戸遊廓の残り香、煮干の香り
第0回 ラーメン町歩き新連載Coming Soon!


まぼろしチャンネルへ