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田端宏章

第15回 レッツ ボウリング アゲイン!


ボーリング場

 1970年、憧れの未来都市が大阪・千里丘陵の日本万国博覧会々場に姿をあらわしました。
 また同時期に、もう一つの未来的空間が、私たちのごく近所にも続々と出現していたのです。1971年に空前の大ブームを巻き起こし、全国に次々と建設された娯楽の殿堂「ボーリング場」です。
 国道沿いに屹立するピン型の看板、未来系デザインの巨大な建物、原色の照明、サイケデリックな内装、美しいデザインのレーンや機械…。ここは、車で行ける身近な「アメリカ郊外」であり、戦後日本の豊かさを象徴する遊戯施設でもありました。しかし、最盛期には全国に3700もあったボウリング場の多くは、ブーム終焉とともに、取り壊されたりスーパーに転用されたりして、徐々にその姿を消していったのでした…。
 さて、そんなボウリングが今、再評価されているのであります。最盛期ほどの人気ではありませんが、休日ともなればボウリング場は1時間待ちが当たり前だそうで、最近の若い世代にも休日のレジャーの一つとして浸透しているようです。
 しかし私が本当に再評価したいのは、「ボウリングにまつわるヴィジュアル」なのです。あのボウリングブーム当時の熱気と情熱なのです。ボウリング場の建築、奇抜なファッションや化粧、未来的なインテリア、ピンをかたどったグッズや便乗商品の数々…。嗚呼、あのボウリング時代よもう一度!(今のボウリング場の内装やマスキングは、はっきり言ってセンスが無さすぎでガッカリです)
 というわけで、ここ数年はあの当時の面影を残すボウリング場を探しに、全国津々浦々を行脚していたのであります。すると、ありましたありました、まだまだあの頃のままの姿で営業している貴重なボウリング場が!しかし、その数は全体の50分の1以下…、ほとんど絶滅状態です。ポップでサイケでナウなヤングにバカウケなボウリング場は、もはや過去の遺物と化していました。そういう昔ながらのボウリング場に限って、客はほとんど来ておらず、あした廃業していてもおかしくないほど場末な雰囲気なのです。空しく流れる大音量の有線放送、瓶入りジュースしか出てこない自動販売機、手書きのスコア、ひと昔前のアーケードゲーム、壁面をうめ尽くす時代遅れの奇妙な壁紙、色褪せたポスター、閉鎖したままの喫茶コーナーなどなど。そこは、あの全盛期のにぎわいからはほど遠い「静けさ」に支配されていました…。
 約2年前より、カメラマンの大沼ショージさんとそうしたボウリング場をまわり、昔ながらの場内の撮影をしてまいりました。そしてようやく、その写真と当時のボウリングブームのヴィジュアルを合体させた書籍を近々刊行予定です。この書籍をきっかけに、再び、あのボウリングブームの頃にあったパワーとハイセンスな感覚を復活していただきたいと心から願っております。あの熱気を、情熱を、感動をもう一度!レッツボウリングアゲイン!

(たばた ひろあき アベレージ90男)

※写真はすべてカメラマンの大沼ショージ氏撮影です。禁無断転載


2003年2月26日更新
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