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串間努

第2回「元祖! 飽食時代の本末転倒」の巻


 新聞に寄りますと!

新聞見出し

拾った仮面ライダースナック
拾った 仮面ライダースナック

 「子供たちに爆発的な人気のあるテレビ番組の英雄『仮面ライダー』のカード集めが、東京都内の小学生、とくに低学年の男の子たちの間で、この夏休みごろから大流行している。最近はこの遊びがエスカレート、景品にこのカードをつけている菓子を一度に数袋も買い込み、菓子の方はそのままポイというケースがふえ始めた。商魂が子供たちの人気者に便乗する例は珍しいことではないが、コトが食べ物のことでもあり、子供の道徳感に響きはしないかと、都教育庁は九日から調査に乗り出した。
 この菓子は、広島に本社のあるK社の製品。小麦粉に練乳、エビなどをまぜ、油で揚げたスナックで、一袋二十円。これを買うと、一袋につき一枚の「仮面ライダー」カードが景品としてもらえることになっており、主人公は当の仮面ライダーのほか、同番組に登場する人物たち。
 子供たちの遊びは、教育庁などの話によると一、仮面ライダーの写真入りカードを何枚持っているか二、カードに打ってある数字の大きいのをどのくらい集めているかなどで競争されているという。また、カードには「ラッキーカード」があり、これに当たると引き替えに、カード用のアルバムがもらえる仕組みになっている。そして、このアルバム(七十二枚入り)を手に入れた子供たちは、それいっぱいにカードを張ろうとして、遊びに一層拍車がかかるというわけだ。だから、一度に五百円以上も買い込む子供たちも出てきており、袋は封を切ってもちょっとつまむだけだったり、カードをもらうと、あとはそのままゴミ箱へというケースも出始めている。……(中略)
 びっくりした都教育庁は都内の区をランダム式に取り上げて調べてみたところ、遊びは江東区だけでなく、下町、山の手を問わず、全般に流行っていることがわかった。このため改めて都内の全公立校を対象に調べる方針でいるが、これといった妙薬もないだけに頭を抱えている」
(昭和47年10月9日読売夕刊)

  ようやく見つけましたこの記事。いままで、「お菓子だけ捨ててライダーカードを集めることが問題となった」という文章をみるたびに「ほんとかな?」と思っていた。ハンバーガーの肉がうんたらかんたら……と伝播されたのと同じような、都市伝説ではないかと思っていたくらいだ。
 ところがちゃんと新聞記事があったんですね。『カード欲しさにお菓子を捨てる子ども』側の子どもではなかった同時代人としてのボクはなんとなく釈然としないけれど。このような社会問題を受けて昭和49年に発売元のカルビーではライダースナック(当時はV3だろう)を発売中止したというが、それも本当かな。
拾った仮面ライダースナック
拾った 仮面ライダースナック

 ボクの家はビンボーだったので仮面ライダースナックを買うための15円か20円のお金にも困っていた。友達はみんな集めている。なかにはカードアルバムを手にいれた子どももいる。非常にウラヤマシイ。ボクは母がたまにくれた、なけなしのお金でスナックを買っていた。
 仮面ライダースナックは「おいしくない」という当時の評判や記憶があるようだけど、ボクにとっては甘くて美味しいお菓子だった。桜のはなびら(ライダーベルトのタイフーンかも)を象った小麦粉煎餅は、ほんのり甘くてしょっぱい不思議な味だな。いまだにあのような味付けのお菓子を食べたことがない。ライダースナックが捨てられたのは美味しくないからという向きもあるが、ロッテの「ビックリマン」チョコのシール集めブームの際にもお菓子投棄現象が起きたことを考えると、ライダースナックはたとえ美味しくても捨てられたと思う。ビックリマンチョコくらい美味しくても捨てられたのだから。

拾ったウルトラマンAスナック
拾った ウルトラマンAスナック
拾ったウルトラマンAスナック
拾った 変身忍者嵐スナック

カルビーは、ウルトラマンA、変身忍者嵐スナックなども発売したが、これは誰もがおいしいと認める『かっぱえびせん』が入っていた(パッケージにそう表記しているのだ)。しかしヒーロー自体に仮面ライダーほどの熱狂的ファンがついていなかったで売れなかったと思う。
 カードの枚数では経済的に勝てないボクはしょうがないから、当時雨後のタケノコのように出てきた、二番煎じのカード付きお菓子の袋を集め始めた。道端を歩いていれば袋はいくらでも落ちている。画像としてアップしたのが当時の袋である。30年過ぎたいまでも拾ったまま持っているという粘着質だ。
 いちおう仮面ライダー以外のヒーロースナックも他人からわけて貰って、味を覚えている。

拾ったウルトラ怪獣スナック
拾った ウルトラ怪獣スナック
拾った赤胴鈴之助スナック
拾った 赤胴鈴之助スナック

 シスコの「ウルトラ怪獣スナック」は、キャラメルコーンのような甘いものが入っていて、アルバムが当たった。
 カバヤの「月光仮面スナック」と「赤胴鈴之助スナック」は、平べったいうすい塩味のスナックが入っていて、丸いカードのようなものが当たった。
 和泉せんべい本舗の「バロムワンスナック」は、細長い塩味のスナックのようなものが入っていて、カレンダー式ののりで貼るアルバムが当たった。

拾ったキカイダーココナツ
拾ったキカイダーココナツ

 日清製菓の「キカイダーココナツ」は、バターココナツが入っていて、丸いカードを入れるベルト型アルバムが当たった。
 シスコの「ファイヤーマンスナック」は、丸い蜂蜜系の不思議な味のスナックのようなものが入っていて、何かが当たった。
 なぜか、明治製菓・森永製菓・グリコ・ロッテは追随しなかった。
 その他、変身ヒーローもののスナック菓子としてマジンガーZやガッチャマンなどもあったというが地区によって発売されなかったのだろう。千葉市ではありませんでした。
 仮面ライダースナックのことが語られるとき、未開封の投棄現象が詰られるようだが、そんな箱買いして捨ててしまうような子どもはほんのわずかだったと思う。ボクの回りではみんな食べていたけれど、特に貧しいものどもが集まっていたのでしょうか。うーむ。
 ホントはあなたも食べていたんでしょ。食べていたというとカッチョワルイから、「あんなもん捨ててたよ」と口笛を吹いているんでしょ? ね、そーでしょ。本当のコトをいってよ!
 仮面ライダースナックを満足に買えないで、ゴミを拾っていた特殊な少年1名は「みんなはその他大勢のあのスナックの味を覚えていないだろー!」と叫んで溜飲を下げることとします。

●書きおろし


2002年6月3日更新
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第1回「『2B弾』のイタズラ」の巻


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