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「あやかし動物園」タイトル

園長 ペリプラ葉古

その11−シーモンキー


あら、顕微鏡が設置してありますね。
対物レンズの先には水の入ったシャーレが。
のぞいてみると……なにかがむにょむにょ動いています。
なに、これ?

シーモンキー

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ボクがその広告を見たのは小学生のときだった。
少年マガジンだったか、少年サンデーだったか。
ひょっとしたら少年キングだったかもしれない。
漫画雑誌の最後のページに、透視めがねやら身長が高くなる器具やら
あやしげで魅力的な通販商品がごった混ぜで並べられていた。
その中でもとりわけインパクトが大きかったのがシーモンキー。
「水に入れたら生き返る謎の生き物!?」
まゆつばだと疑いながらも、買った人は多いのではないだろうか。
手引書どおりに飼ってみて、憤った人も多いのではないだろうか。
「全然、サルじゃないじゃん!」と。

シーモンキー

シーモンキー。なんと魅力的な名前だろう。
実はシーモンキーとは商標名である。
アメリカのある会社がこのけったいな生き物を売り出す際につけた名前。
当たり前だが猿の仲間ではない。
ウミウシが牛の仲間でないのと同じだ。
こやつ、英名をブラインシュリンプ(brine shrimp)という。
ブラインは塩水で、シュリンプは小エビのこと。
直訳したら塩水に住むエビということになる。
たしかに猿よりはずっとエビに似ているが、
こやつをエビと呼ぶのは、ムカデを昆虫と呼ぶのと同じだ。
「え、ムカデって昆虫じゃないの?」って……おいおい。

こやつは水生節足動物の一種である。
たしかにエビも水生節足動物だから、
大きくとらえればエビの仲間ということになるけれど、
水生節足動物の門下にはいろんな徒弟がいる。
カニやヤドカリ、シャコはいうにおよばず、
カブトガニもフジツボもミジンコもみな水生節足動物なのだ。
こやつ、一門ではミジンコの弟分に当たる。
ミジンコをエビと呼ぶ人は少ないと思うので、
こやつもエビと呼ぶのはいかがなものだろうか。
とはいえブラインシュリンプだとどうしてもエビの影がちらつくので、
こやつ、今後は学名でアルテミラと呼ぶことにしよう。

このアルテミラ、乾燥に極めて強い。
卵の状態だとぱりぱりに乾燥させてもしぶとく生きている。
そしてアルテミラの卵を商品化したものがシーモンキーなのだ。
卵とえさ、えさ用のスプーンなどがひとパックになっていたと思う。
シーモンキーを塩水に入れてやるとすぐに孵化し、動き出す。
最初は肉眼ではよく見えないプランクトン状態なのに、
みるみる間に劇的なスピードで成長を続け、
最終的には1センチくらいの成体にまで育つ。
(たいがい途中で死んでしまうのだが。)
小さな容器の中でのシーモンキーの飼育は、
生命の不思議を垣間見るような経験であった。
実験室で生命をもてあそぶがごとくどこか後ろ暗い快感!
子どもたちはあの時代、誰でもフランケンシュタインになれたのだ。

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【アルテミラ】
節足動物のミジンコ綱無甲目に属する塩水生の小動物。複雑なライ
フサイクルを持ち、成体は条件によって卵胎生で直接幼生を産む場
合と卵を産む場合とがある。卵は一度乾燥しないと孵化することが
できない。現在でもブラインシュリンプやシーモンキーの名前で魚
のえさとして、熱帯魚屋などで売っている。


2003年3月7日更新
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