園長　ペリプラ葉古

その19−カマキリ

ご無沙汰しておりました。久しぶりの開園です。
さっそく緑色の虫がファイテングポーズを決めて、
なにやらこちらをにらんでいるようです。

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昆虫の中でももっとも悪党めいたキャラ。
それは間違いなくカマキリだった。
原っぱで見つけて捕まえようとしたときの威嚇のポーズ。
逆三角の顔に感情のない眼、不適な表情でこちらを見ていた。
えさのコオロギをおさえこんだときのあの必殺のポーズ。
巨大なカマでえものの自由を拘束して固め技を決めていた。
そしてコオロギを頭からムシャムシャ食うときのポーズ。
強力な大顎でさもうまそうにえものの体を噛み砕いていた。
これが冷酷無比な悪党の真価である。

固まった泡のような卵を拾って机の隅っこに置いていたら、
そのうち孵って何十匹何百匹もの子カマキリが生まれ出た。
カマキリは不完全変態の昆虫だから、
親を縮小コピーしたような子カマキリがぞろぞろ生まれ出た。
かわいいかわいいと虫かごに入れて飼育していたら、
そのうちどんどん数が減っていく。
すき間から逃げたかなとよくよく観察してみたら、
やつらは共食いしていたのだった。
まさに極悪非道の悪党の本領である。

カマキリを踏み潰したら面白いと友だちが言うので、
思い切ってぐしゃっとやったことがある。
内臓破裂を起こしたカマキリが瀕死の状態でもがく中、
臓物を引きずりながら最後の力をふりしぼる中、
そのおぞましい光景が目の前に立ち現れた。
死に際のカマキリの肛門から長い虫が出てきたのだ。
にょろにょろにょろにょろにょろにょろと
長い長いハリガネムシが出てきたのだ。
さすが得体の知れぬ悪党の底力である。

でもなにより昆虫少年の幼心を寒からしめたのは、
他でもないあのシーンだろう。
オスのカマキリが欲情を催してメスの上に乗っかったとき、
世にも壮絶なあのドラマが幕を開ける。
メスはおもむろにカマを伸ばして、背中のオスを捕まえる。
そして生身のオスを頭からガシガシガシガシ食べ始める。
交尾途中のオスをつながったままガシガシガシガシ食うのだ。
性欲と食欲を同時に満たすメスの貪欲さ！
これぞ血も涙もない悪党の神髄である。

世の男性諸君！
メスカマキリのような女に虐げられてみたいと思わないか？
カマキリとヒトは共通していて、オスは愚かな生き物なのだ。　　
いつだって悪女に惹かれてしまうのである。

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【カマキリ】
カマキリ目に属する昆虫で、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、
ウスバカマキリ、コカマキリなど日本には9種が分布している。寄
生虫のハリガネムシは有名で、ハラビロカマキリによく見られる。

※　カマキリの写真を提供して頂きました。
画像元　切手の森の鳥と虫　http://www.jade.dti.ne.jp/~zardoz/index.html

2003年12月５日更新
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