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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第37回 川越南台団地んぐクイーン
〜アバーとリキラリアット食らうよ
刈部山本

今回のタイトルは流石に苦しい、というか勢いだけで意味不明になってきたが、そんなわけで、この連載も一時休止させていただこうかと。
ナニ、ダジャレのネタが切れたわけではない。このところ更新が滞り気味だったのは、単にUPするタイミングを逸していたに過ぎないが、基本ラーメン+風呂+街歩きだから、この3つがセットになる場所というのが意外とないもので、しかも文章量的にも膨大になってくる。この組み合わせで続けていると、更新が途切れ途切れになってしまう。
というわけで、今度から街のレトロネタに絞った短いものを頻繁に更新するようにして、時折、まとまったところで、不定期にこのら〜めん路漫避行を更新しようと思う。

気持ちの上では月1で更新してきた連載はこれが最後ということで、華々しく川越〜狭山で・・・って地味だ!(地元の方に失敬御免)しかも町外れ。前回は拙ミニコミ誌の紹介がてら向島の赤線をピックアップしたが【前回記事】、今回はその『向島迷宮地帯』と同時に発表した新刊『廃景・西武安比奈線』という自身初のオールカラー廃線写真集の紹介を兼ねた周辺散策レポとしたい。
西武安比奈(あいな)線とは、西武新宿線南大塚駅から入間川へと伸びる3.2km程の短な貨物線で、入間川での砂利の採取が禁止となった昭和42年以降、路線は休止状態となっている。完全に廃止となり線路が撤去されいるわけではなく、架線も残っているので厳密には休止線となるが、線路は歪み枕木も朽ちている感じからも、復旧する様子は伺えない。
まぁこのへんの様子は拙著で激写しているし、詳しい探訪レポートは拙著購入者特典の電子書籍PDF版に詳しいので、詳細は当ページ下部のインフォメーションを参照頂きたい【インフォメーションへ】
この連載では西武新宿線の南大塚駅から隣駅新狭山へと伸びる川越狭山工業団地を巡ってみたい。

南大塚駅の改札を出ると、私鉄の各駅停車駅らしい小じんまりとしたロータリーが出迎えてくれる。小規模でホッとする風景だ。
ここから駅ホームに沿って北側へ進むと、砂利敷の駅前駐輪場がある。どうも無料のようだ。東京周辺の違法駐輪で迷惑している駅では考えられない。この駐輪場の奥に下りホームが見えるが、下りホームと駐輪場の間から、西武新宿線から逸れるように安比奈線が伸びている。

南大塚駅ホームから
安比奈線分岐

この道路を挟んだ対面に1軒の住宅があるのだが、1F庇部分の片方だけ弧を描いているのが気になる。

理容店跡1

どうも嘗ては床屋だったようで、格子状のガラス壁が目を引く。かなり大きくて立派な理容店だったのだろう。

理容店跡2

安比奈線から踵を返すように、今度は駅ロータリー南側へ出る。

するとジグザグに建つアパートが突如現れた! 案内板によると川越南台社宅というらしい。

川越南台社宅

一瞬スターハウス(上空から見ると星に似たY字型の小規模アパート)が隊列をなしているのかと思ったが、全て連結した一続きの団地らしい。多分ベランダを南向きに全てあわせるために、こうしたノコギリ刃のような形になったのだろう。 もっと驚くことに、この社宅の対面にもう一つ、一段と歴史を帯びたアパートが建っているのだ。

川越南台住宅

川越南台団地といい、こちらはノコギリ刃ではないのだが、どす黒く変色したクリーム色の外壁が、公団住宅としての歴史を感じさせる。1967年築とのことで、70年代以前の団地にここで出会えるとは!?
鉄筋コンクリート造4階建で総戸数は88。典型的な当時の団地サイズで、ダストシュートも見受けられる。

川越南台正面

全体に薄暗く、入居者現象で生活感が感じられないと思いきや、スチームの郵便受けからは生活の匂いが感じられる。

川越南台1F部

通り沿いからは街路樹に阻まれ全体像が掴めない。棟の間を入ると、かつては子どもの遊び場だったろう、小さな公園というか空地のようなスペースがあり、集会所のような建物も見受けられる。

川越南台集会所

団地の裏へ回るとベランダ側には庭もあり、植木など手の入った形跡がキチンと残っている。

川越南台ベランダ側

しかし一部の棟は入居者がいないのか、建て替えで出て行ったのか、鉄柵が錆び、半ば廃墟化したものもあった。

川越南台廃墟化

暫く探索していると、棟と棟の間に、カラーコーンの立てられた、立入禁止のスペースがあった。

川越南台焼却炉1

なんとそこには、赤黒く錆びあがった年代物の焼却炉が!

川越南台焼却炉2

こんなにイカツイ代物を間近で見るチャンスは今、そうそうなかろう。炉の扉の横はダストボックスだろうか、燃した跡すぐ廃棄できる仕組か。煙突はダストシュートに直結され、屋上に抜けるのだろう。

川越南台焼却炉3

いや〜、思わず凄いもんが拝めましたわ〜

さて、ここから先、南西側は新狭山駅まで延々工場街が続いている。1960年から日本住宅公団が工業団地開発のために土地の買収を行ってつくった工場街で、当時日本一の規模を誇ったという。日本住宅公団というのが驚きだが、従業員の住まいを確保するために川越南台団地が建設されたのだろう。年代的にも符合する。
行けども行けども工場の風景だが、綺麗な箱に覆われた大手企業の工場なので、見ていて面白みがない。なんて思っていたら、やっとそれらしい風景が見えてきた。生コンだ!

生コン 倉庫

日通のクリーム色のシンプルな倉庫があり、資材置き場のようなところにはなんだかわかんないけど、ゴチャゴチャとトラス状の様々の線が交錯して積み上げられている。

資材置き場 事務棟

こうした工場の事務所というのも60〜70年代の臭いがするもので、階段室だろう筒状の部分の縦長の窓とエンヂにくすんだ枠が時代を物語っている。

工場街を抜けるとスグ、西武新宿線新狭山駅。工場街のハズレから県道340号中新田入間川線に出たろころに、夜な夜な怪しく輝く看板のラーメン店がある。かねてから一度いってみたいと思っていた店なので、迷わず入店。そう、店脇の暖簾の文句「迷わず並べよ 食べれば分かるさ」とあるように・・・
チャーシュー力Z

チャーシュー力Z
11:30〜翌2:30
埼玉県狭山市東三ツ木62-1
年末年始以外無休
公式サイト

それ猪木じゃん。長州力じゃないのかよ!・・・まぁいいやと店内に入ると、噂通りプロレス関連のポスターやサイン色紙やグッズで埋め尽くされている。

店内 店内2

テレビではプロレスのビデオが流れている。

正油

正油¥630はコクが強く、醤油ダレもカッチリきいているが甘みが強い。結構豚骨が炊きでている気がする。表面には背脂とラードで覆われている。かなり好み!当たりですわ。
麺は黄色い縮れ麺。西山製麺などの北海道ラーメンでよく見られるタイプの麺だなぁと思ったが、このスープ自体も旭川ラーメンっぽいし、基本北海道系なのかと。具のバラチャーシューは確かにとろけるが、味付けもあまり強くなく脇役な感じ。
予想以上に丁寧に作られたしっかりとしたラーメンで、久々に街道沿いラーメンらしい背脂こってり醤油に出会えて嬉しかった。

新狭山駅から出ているコミュニティバスで行ける市のハズレ、日高市との境に、サイボクハムという別の場所だが自社牧場を持つ食肉加工会社の大型直売所&レストランがある。この広大な土地の一角に温泉が湧き、大型スパ施設になっているので、行ってみた(といってもコミュニティバスの本数が少なく別の日に再訪したのだが…)。
まきばの湯

サイボク温泉まきばの湯
10:00〜22:00(受付〜21時)
埼玉県日高市下大谷沢546
基本第1月休
公式HP

サイボクのレストランの奥に、ヒュッテ調の建物がデーンと佇んでいる。横に長く、前の広場がバスロータリーになっているのだが、西武の路線バスもここまで入ってくる。
入店すると、広々としたロビーで、高速のサービスエリアや道の駅の付帯巨大スパ施設といった面持ち。土産物コーナーなどもあることからそう想起させられたのだろう。伺った期間は通常の入浴料で岩盤浴も楽しめるというのでそれをお願いする。
男湯の脱衣場のロッカーは広く、ファミリー向けだからか全体に低く設計されている。洗い場はカラン1つずつ仕切られていて、1つ1つ広く取られている。この辺はさすが通常入力料1500円する施設だけはある。室内浴槽は半円形の横長の温泉槽がデンとあって、あとはチョボチョボとジェット系風呂がある程度。
メインの露天スペースへ出ると、これがメッチャ広い! 中央に瓢箪型の温泉槽があり、奥にまるで山がそびえるように多層構造の岩造りの温泉層がいくつも待ち構えている。一番上の小屋のようなところから温泉が流れ落ちる仕組みで、その途中に湯だまりが隠れている。どこに入っても温泉で、微妙に湯温も違う。
それになんといっても温泉の質には驚かされた。透明度が強い割にヌメリが尋常でない。しかも硫黄のような香りさえ漂うのだ。久しく北関東や東北の温泉地に行ってないのだが、そういうところで感じたことのある温泉感に懐かしさを覚えた。 他にはつぼ湯もあり、これがヌルめでつい長湯してしまった。他に歩行湯などもあったがすべてが温泉で、湯量が多いのか、この泉質というのもあって、非常に贅沢な気分にさせてくれる。
岩盤は時間入替制で、予め予約した時刻に向かう。正式名称は石の湯とあって、部屋全体に砂利が敷き詰められている。20分のうち10分くらいすると結構キツくなってくる。風呂といい、ここの施設は全般に熱めかな。出たところの待合室で皆、利用者なら無料で何杯でも飲めるミネラルウォーターをガブガブ飲んでいた。
2Fには仮眠室や食処を兼ねた無料休憩所もあり、のんびりうたた寝をして、帰りは狭山市駅行の西武バスで家路についた。

マイカーでないと郊外ははさすがにキツイが、のんびりバスを待ったりするのも悪くないし、普段歩かないような距離でも楽に歩けてしまうものだ。この辺には民家を改装したような武蔵野うどんの店も多いし、食べて歩いて温泉に浸かるなんてゴールデンコースを辿るにはもってこいだ。行くにもまとめるにも時間がいるが、まだまだこうした風景を見つけにこれからも歩いていくとしよう。【了】



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2010年 9月15日更新
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