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11月某日 びっぐさいとデ「表現欲」ニツイテ考エル事

南陀楼綾繁



 今日は「ビッグサイト」まで出かける用事があるので、昼過ぎに出かける。電車に乗りながら、どういうルートで有明に行くかを考える。フツーに行くのなら、新橋からゆりかもめか、新木場から新交通線なんだけど、それだとどこにも寄り道できない。せっかく遠出するんなら、やはり古本屋に寄ってから行きたいと、地下鉄路線図をじっと眺めていたら、都営大江戸線が汐留駅でゆりかもめに接続しているコトに気づいた。なるほど、じゃあ、門前仲町に出ればいいんだな。

 大手町で東西線に乗り換えて、南砂町へ。ココには〈たなべ書店〉という古本屋が二軒ある。駅に近いほうの店は、店外の均一棚は50円から100円と激安で、店内もかなり豊富な品揃えなのに全品半額と手が出しやすい。50円均一を含めて、二軒で10冊ほど買う。一軒目でどうも勘定を間違えられたらしく、200円ほど高かった気がする。まあ、それでも安すぎるぐらいだけど。

 門前仲町に出て、いちおう〈ブックオフ〉を覗くが買わず。都営大江戸線で汐留駅へ。ゆりかもめの乗り場までえらく歩く。ホームまで上がって向こうを見れば、新橋がスグそこに。こんな近くに駅をつくる意味あったのだろうか。ゆりかもめの車内はいつもアベックのいやなオーラにつつまれている。それを避けて外を見れば、お台場の辺りはファションやらカルチャーやら、とにかく近寄りたくないうわついた空気が充満している建物ばかり。お台場公園で串間努さんプロデュースの「まぼろし文具店」が出ているらしいが、降りて寄る気力もない。ごめん。

 ようやく国際展示場前に着き、ビッグサイトまで歩く。ここ一、二年ばかりコミケともご無沙汰なので、ビッグサイトに来るのも久しぶり。今日は西ホールの「デザイン・フェスタ」を見るのだ。いわば、コミケのデザイン版。各自がブースを借りて、アート作品、雑貨、服などを展示販売するものだ。入場料1000円取られ、ホントにそんな価値あるのかと疑ってなかに入ると、かなり広いスペースに数百のブースが並んでいる。Bホール、ヨメの旬公が、大橋あかねさん(ハラゴメガエル作家)、束松陽子さん(みつばちトート)といっしょに出しているブースに着く。ここは手づくり本が中心。旬公が教えている大学の学生も、この日に合わせて自分のつくった本を持ってきていた。ただ、周辺のブースは服や雑貨ばっかりなので、なんとなく違和感があるせいか、あまり人が寄ってくれなくてかわいそう。

「デザイン・フェスタ」

 会場を一回りしてみる。けっこう高い借り賃のハズなのに大学生の女の子が一人で何ブース分の空間を使っていて、箸にも棒にも引っかからない落書きみたいなものだったり、しゃがみこんでパフォーマンスしているけど、見てるヒトを意識しすぎて没入しきれてないのが滑稽だったりと、会場に充満する「自分を表現したい」という欲にアテられて、15分歩いただけで疲れてしまう。

「デザイン・フェスタ」

 そんなナカで「癒し」(というイヤなコトバを使ってしまいたいほどに)さえ覚えたのは、「いぬちゃん」のかとうけんそうのブースだった。『宝島』世代なら忘れることのできない、あのヘタウマ(死語)マンガ。そして、CMでときどき聞けるあの声。イメージそのまんまの方であった。一冊ミニコミを買い、写真を撮らせて貰った。あとで大橋、束松にいうとさすが同世代、大喜びして自分でも買いに行っていた。年下の学生はひややかな目でみていたが。

「デザイン・フェスタ」

 あと、オモシロかったのは、「液体芸術家」を名乗る森健二という和服のおじさんのブース。見世物というか衛生博覧会みたいな妙なオブジェと、なぜか大阪の交通マップという取り合わせ。女の子たちに向かって、鉄道唱歌(?)を熱唱していた。あとで検索すると、さすがというべきかサイトがあり、「液体芸術家とは、一定の形を持たない芸術家の事です。森健二は、1996年6月より液体芸術家を宣言し、ある時は役者、ある時はCGアーティスト、ある時は,ミュージシャン、またあるときは数学家と、幅広い活動を続けています」と書いてあった。カラオケビデオ「京都市バス201号系統の歌」というのも自主制作しているらしい、不思議なヒトだ。

http://www.geocities.jp/kenji2251/

「デザイン・フェスタ」

 ホールとホールの間には、エスニックの屋台が出ていて、けっこう食欲をそそる。中華まんを買って食べたり、ブースに来たヒトと話しているうちに閉場の七時前になった。片づけて撤収。早めに出たせいか、ゆりかもめでは座れた。新橋の〈天はる〉という天ぷら屋へ。1080円の中天丼を頼むが、これが絶妙にウマイ。お吸い物も新香もうまく、ひさしぶりに天ぷらやで満腹した。ウチに帰ると疲れてしまって、朝まで爆睡してしまった。やっぱり、ビッグサイトは疲れる空間である。


2004年2月10日更新
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