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シャープインターホン

第18回「走れ! ピンポンダッシュ」の巻
日曜研究家串間努


 高度成長時代は貧富の差が激しい時代だった。私の身の回りを見渡してみても、自家用車を持っている家もあれば、カラーテレビが無い家もあったり(おれんちだけど)、玄関にインターホーンがついている家もあれば、玄関開けたらいきなり座敷の長屋もあった(これもおれんちだよ!)。話を飛ばさせてもらうが、子どものいたずらで、誰がよんだか「ピンポンダッシュ」というのがある。当時はインターホンより、ただのブザーやベルが主流で、これを「ビー」と押してはランドセルをガタガタ言わせながら駆け足で逃げるのだ。ホントは家の人がハーイと出てきて、キョロキョロする姿を見たかった。しかしそこまでやると自分が捕まってしまうので、押したらすぐ逃げた。押すのも決心がいった。八分音符が書いてある、チャイムのボタンに掛けた指を、友達が上から無理に押してしまうこともあった。捕まったら殺されるくらいの気持ちで一目散に逃げていた。フタが外れて、ランドセルからたて笛やものさしが吹っ飛んでしまい、あわてて拾いに戻ったときはスリル満点だった。そのままかがんだら、教科書や筆箱などをばらまいてしまい、さらに被害を拡大した時は万事休すかと観念した。

 門扉から玄関ブザーまでの距離がある家では、ある子にブザーを押しに行かせた。こっちは門を閉め。手を伸ばしてフック式のカギをはめて、ぎりぎりまで外で待ち、押した子がなかなか出られないように門を押さえるのだ。犠牲者が家の人に捕まったことはなかったが、門に指をはさみそうになったことはある。これらは持たざる子の、門扉やチャイム、アルミサッシの窓などに対するあこがれと嫉妬だろう。やめたのは、ドアスコープという玄関を開けなくても外の様子が見える小穴があることを、とても立派な家に住んでいるヤツに聞いてからだ。金持ちはこずるいなあ。
 
 このいたずらから当時はまだ地方都市では、昼間も住宅に誰か人がいることが普通だったこと、ブザーという機械モノを子どもは触りたく思っていたことなどがわかる。
 
 繁栄と貧困の混在、二極分化が今よりも目立っていたのであった。私の家は「持たざる家」の方だったのでこうした執筆を通して高度成長時代にこだわり続けているのかも知れない。

はるかを改稿


2005年3月3日更新
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