イラスト・もりたあゆむ

レ ト ロ ス ポ ッ ト ガ イ ド 「 ま ぼ ろ し 酒 場 」

古都の酒は旨いぜ　江戸川

　何度となく京都へ行ったが、真夏の京都は初めてだ。その暑さはハンパじゃなかったぜ。
　今回の目的は、京の夏の風物詩ともいえる川床料理を味わうためにであった。
　 鴨川でも、高雄でもそれはあるが、私は貴船を選んだ。写真を見ても、ここが一番川床の風情を楽しめそうであったからだ。この選択は間違いではなかった。都心よりも10度も低いというので別天地であった。何しろ尻の下を清流が、勢いよく音を上げている。それだけで涼しさが増す。天然のアユが美味であった。

　 一泊目は川床を楽しみ、二泊目は庶民的な居酒屋で一杯！が良いだろう。
　 なるべくなら新しく開拓した店が良い。ホテルが八条口（新幹線側）だったので、近い所を選んでみた。これが良かった。
　 近鉄名店街の中程にある、「江戸川」という鰻料理が中心の店構えであった。しかしメニューは、居酒屋の定番を始め京らしい一品まで揃っていて好感が持てた。名店街といっても、新幹線ホーム下で東京なら新橋、有楽町にも似た雰囲気だ。銘酒が一升瓶で冷蔵庫に並んでいるのを見た俺は、思わず拍手しそうになった。この手の店でハズレは少ないからだ。旧盆前の金曜日で、店内は満席に近い。我々はカウンターに座ったが、後方の個室も網目ガラスの中で、網走監獄風で趣がある。 　
　 古女房は、もずくが東京とひと味違うといって、妙に納得していた。牛のたたきも新鮮で美味だったが、いわしの天ぷらは油が乗って旨かった。京のおばんざい風な一品料理もあるし、肴には事欠かない店だった。 　
　 従業員もきびきびして、走れメロスのように動き回っていた。 　
　 近鉄京都駅下車なら徒歩一分もかからない、新幹線改札からも二分ぐらいなので京の旅の締めくくりに一杯やる連中にもおすすめなり。 　
　 近鉄名店街には、他にも気になる店が多かった。当分目が離せなくなりそうだ。

『江戸川　近鉄京都駅前店』
(住) 京都府京都市下京区東塩小路釜殿町27 京都駅八条口近鉄名店街
(電) 075-691-0101
(営) 11:00〜23:00（年中無休）
(HP) http://www.kintetsu-kankou.com/

文：坂口団吾

2007年9月26日更新

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