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「あやかし動物園」タイトル

園長 プリペラ葉古

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-98.html
音楽的・あやかし動物園
まぼろし放送にてペリプラ葉古(鳥飼否宇)氏を迎えて放送中!

その25−ヒル


水を張った水槽の中で尺取虫のような動きを繰り返している
グロテスクな生き物に、幼い頃の記憶を呼び起こされませんか?
思い出しました? そう、ヒルですよ。おなつかしや!

ヤマビル
ヤマビル 
※ 秋田市林務課サイトさまよりご提供いただきました

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子どもにとって、いつの世も水遊びは最高の楽しみ。
昔は水田に農薬がまかれることも少なく、
だから水田脇の小さな用水路にはたくさんの生き物がいた。
ザリガニがいた。メダカやタナゴがいた。
ミズカマキリやタイコウチ、場合によってはタガメもいた。
裸足で水に入り、そいつらを追いかけ回してあがってくると、
ふくらはぎやすねによくヒルが吸いついていたものだ。
吸いつくという表現がまさにぴったりで、
指でつまんで引っぱってもなかなか離れてくれない。
煙草の火を近づけたら簡単にとれると大人は言うが、
子どもには無意味なアドヴァイスだった。
しかたがないので力で無理やり引っぺがすことになる。
すると丸い吸い口からいつまでもだらだらと血が流れた。

血を吸う悪者といえばまっさきにカを思い出す。
カに刺されるとかゆくて嫌だが、
体が小さいのでいっぱい血がとられるわけではない。
同じ吸血昆虫にアブがいる。
アブに刺されると痛みを覚えるが、
痛い割にはさしてたくさんの血が奪われるわけではない。
ところがヒルは違う。
やつらはいつのまにか忍び寄って、
そ知らぬ顔で吸いついている。
痛くもかゆくもないので気づかずにいると、
もともとぺしゃんこだったやつらの体が丸々と太っている。
体の容積の8割か9割くらいが人の血でふくらんでいるのだ。
大量の血を吸われ傷跡も生々しいのに、まるで痛みがない。
子ども心にそれが不思議だった。

ヒルは歯で皮膚を切り裂く際に痛み止め成分を注入するそうだ。
だから大きな傷をつけられても痛みを感じないわけだ。
また、血を吸う前には血液凝固を妨げる成分も注入するらしい。
さらに、血管を拡張させる物質まで。
だから知らないうちに大量の血を奪われてしまうわけだ。
痛みを与えずにたくさんの血をとることができるので、
ときとしてヒルは医療目的で使われてきた。
淀んだ悪い血を取り除く瀉血(しゃけつ)に利用するのだ。
なにも昔の話ではない。
アメリカでは現在でも医療用のヒルを販売している。
なんでも無菌状態で養殖したヒルだとか。
太い針に恐怖を感じる先端恐怖症の人は
採血にヒルを試してみてはいかがだろうか?
……わたしはどちらもご免だが。

ヤマビル
ヤマビル
※ 秋田県さまよりご提供いただきました

人に悟られずに自分の体重の5倍以上もの血を吸うヒル、
やつらこそ吸血鬼の名にふさわしい生き物に違いあるまい。
最後に日本で見られるヒルをいくつか紹介しておこう。
ここまで述べてきた水生の細長いヒルがチスイビル。
これに対して深い森に住んでいるずんぐりしたのがヤマビル。
渓流に住み顔を洗ったときに鼻から侵入するハナビル。
ズワイガニに寄生するカニビル。
吸血せずにミミズなどを食べる肉食性のイシビル。
終始冷酷に血を吸いつづけるニヒル。
ちょっとおしゃれなダンヒル。
東京駅の近くに住んでいて生まれ変わったマルビル。
ビートルズも歌にしたことのあるフール・オン・ザ・ヒル。
詐欺まがいの手口で刺す(sting)ジョージ・ロイ・ヒル。
ま、このへんで。

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ヒル
ミミズやゴカイと同じく環形動物に属する。吸血性の種は一度に体重何倍もの血液を吸引できるので、一度吸血すると一年近くも食物をとる必要がない。


2004年11月15日更新
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