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「プラモ線の旅」タイトル

今柊二

「秦野邦彦と出版ブームその2」


 少年ブームは突如として勃興し、それが収束した後でも、少年達のこころに強い影響を与えるものだが、我々のなかにわき起こった出版ブームも例外ではなかった。オカモトくんと秦野邦彦にマンガを見せてもらった後、私はわき目もふらずにすぐ家に帰り、まずは彼らが行なっていたように無地の落書き帳の紙を小さく切って、本にしてホッチキスで止めた。しばし何のマンガを書こうかと考えたが、さっきオカモトくんに見せてもらった「ルパンV世」のマンガと、当時もなお傾倒していた「宇宙戦艦ヤマト」の話をミックスしたマンガを考案した。題して「オラン3世」(笑)。主人公の名前は新代進(爆笑)。もうこりゃどうしようもないな。それで敵の「オラン3世」は、なまずの顔をしているのだった。これはどこから持ってきたのか、記憶がさだかでないが、表紙の裏(いわゆる表2ですね)には必ず毎巻、さまざまな人物が「読めよ」と言っているのだった。

 ストーリー自体は、新代の乗りこむ宇宙戦艦(確か、紀伊とかそんな名前だった。大和より強いと言われた計画上の戦艦)が、ただひたすらオラン3世と戦うという設定だった。1ページ一コマだったので、16ページほどの1冊分はすぐ終了してしまう。しかし、自分で読み直してみるとあまりにもくだらなくて、人様に見せるような代物ではない。そこで、もう一本考えた。ボクシングマンガである。なぜかロボットがボクシングをやるマンガで、タイトルは「OKO」(泣)。これは読み直してもまあまあいけたと思ったので、とりあえず、オカモトくんと秦野くんに見せることとした。

「オラン3世」

「とりあえず、僕もマンガ書いたけん」と言って、小学校で秦野くんに見せると、パラパラと見たあとで、一刀両断「面白くないよ」と言われてしまった。

 さて、普通の人なら、ここで止めてしまうのだが、私はなにやらくやしかったので、「OKO」も「オラン3世」もひたすら書きつづけることにした。そこでたどりついたのが、「OKO」は確か、12巻程度まで、「オラン3世」はなんと50巻を超える驚きの冊数となったのだった。親にも「おまえ、何しよん?」とあきれはてていたものだった。それらのマンガは今でも四国の実家の私の勉強机の2段目に入っている。

 今考えれば、これが私の「畸人研究」に代表されるミニコミ人生の出発点だったのだ。その後、中学では男性情報誌「GERO」(ピンナップつき)を発行したり(とは言っても手書きの一冊だけだが)、高校では学園誌で勝手な原稿を書き、大学では学部発行の機関誌をほぼ占拠するなどと、ミニコミの歴史が開始されていくのだが、このコラムはミニコミの話ではなくて、模型の話なので次回は話を戻しますです、はい。


2003年5月29日更新
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