第15回 1967年(昭和42年)
「この年の話題は、何と言っても『逃亡者』の最終回だね」
「『逃亡者』といえば、ハリソン・フォードの映画があったよね。妻殺しの容疑で死刑の判決を受けた主人公の医者が、列車事故の隙に脱走して真犯人と事件の陰謀をつきとめる……」
「映画は殺人事件の背後関係を新しく加えていたけど、テレビにあった逃亡生活の哀愁は希薄だったね。なにしろ1963年5月16日に第1回が放送され、3年もの間、視聴者をハラハラ・ドキドキさせ続けたんだからね。3ヶ月後に放送される最終回での主人公リチャード・キンブルの運命についてTBSが視聴者の推理を募集したところ、たった3日間で1200通の投書が殺到したそうだよ。最終回は前・後編の2回に分けて放送され、前編が24.5%、後編が31.8¥%という高視聴率をもって終わった。日本に到着したフィルムは厳重に保管され、日本語吹替えの翻訳者は極秘でホテルにカン詰め、台本の印刷は特別な一人に担当させ、声優はぶっつけ本番で録音を行ったので、放送されるまで視聴者は結末がわからなくて、大フィーバーとなったんだね」
「キンブル役のデビッド・ジャンセンって、どこが魅力的だったの」
「物静かで理知的なところかな、どこか哀愁があって女性ファンは母性本能をくすぐられてそうだよ。それと、吹替えしていた睦五郎の声がキンブルのイメージにピッタリだったこともあるかな。デビッド・ジャンセンの地声を聞いてガッカリしたファンもいたそうだから……」
「日本語吹替えの場合、声優の声のイメージって大事だよね」
「“おはようフェルプスくん……例によって君もしくは君のメンバーが、捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで”の大平透の声も忘れられないね」
「『スパイ大作戦』ね」
「『スパイ大作戦』が始まったのが4月8日からで、第1シーズンはリーダーがジム・フェルプス(ピーター・グレイブス)でなく、ブリッグス(スチーブン・ヒル)だった。アメリカでは、ピーター・グレイブスに代わってから人気が爆発したらしいけど、日本では吹替えはどちらも若山弦蔵だったよ。日本では人気があったんだけど、本国での人気がパッとしなくて早々に打ち切られたのに『インベーダー』があるね。UFOが地球に着陸するのを目撃した建築家が、地球侵略を企むインベーダーを求めて町から町へと旅をしながら孤独な戦い行なうSFサスペンスだった。宇宙人といっても人間の格好をしているし、殺しても燃えて消滅してしまうので、誰にも信用してもらえない。『逃亡者』のスタッフによって製作されたので、まさにSF版『逃亡者』だったね」
「宇宙怪獣が出てきて暴れるんじゃないんだ……」
「怪獣ものといえば、『仮面の忍者赤影』かな。大ガマが出てきて城を壊したりしてさ……」
参考資料:テレビ50年(東京ニュース通信社)、テレビ史ハンドブック(自由国民社)
2005年9月20日更新
第14回 1966年(昭和41年)
第13回 1965年(昭和40年)
第12回 1964年(昭和39年)
第11回 1963年(昭和38年)
第10回 1962年(昭和37年)
第9回 1961年(昭和36年)
第8回 1960年(昭和35年)
第7回 1959年(昭和34年)
第6回 1958年(昭和33年)
第5回 1957年(昭和32年)
第4回 1956年(昭和31年)
第3回 1955年(昭和30年)
第2回 1954年(昭和29年)
第1回 1953年(昭和28年)
[チックとタックの「あった、あったテレビ」」
俺は用心棒
スター千一夜
逃亡者
新撰組始末記
笑点
サンダーバード
ザ・ガードマン
夜のヒットスタジオ
事件記者
ザ・ヒットパレード
デン助劇場
快傑ヒーロー
格闘技ドラマいろいろ
三匹の侍
まぼろし探偵
海底人8823(ハヤブサ)
名犬リンチンチン
タイムトンネル
アニーよ銃をとれ
アンクルの女
可愛い魔女ジニー
風小僧
プレイガール
日本女子プロレス中継
豹(ジャガー)の眼
風雲真田城&おせん捕物帳
恐怖のミイラ
アラーの使者
→ |