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「蕩尽日録」タイトル

8月某日 一駅一時間ノ旅ヲ志シ中板橋デ「ヘソ踊リ」ニ出会ウ事
南陀楼綾繁

 仕事がいちばん忙しい時期のほぼ三週間、ぼくはすっかり出不精になってしまう。仕事場とウチとの往復だけで疲れて、外に出かける気を失うからだ、しかし、ピークを越え、先が見えてくると、とたんにどこかに行きたくなってくる。現金なモノだ。今回もあと数日で終りそうという午前中、仕事場に行く前の二時間に、無性にぶらぶらしたくなった。それも神保町や新宿、池袋などよく行くエリアではなく、初めての駅に降りてみたくなったのだ。もちろん、目的が古本屋巡りだというのは、いつもと一緒だけど。

 日本古書通信社の『全国古本屋地図』を引っ張り出して、あまり遠くなくて、まだ行ったことのない駅はどこかと探す。パッと目についたのが板橋区。東武東上線の中板橋には古本屋がある。ついでにネットを検索したら、ブックオフもあることが判る。で、今日のお出かけは中板橋に決定。

ブックオフ

「ブックオフ」中板橋店

 中板橋は池袋から各駅停車で四つ目のところにあった。北口を出てすぐのところにある〈ブックオフ〉で、すぎむらしんいち『東京プー』第3、4、5巻(講談社)を一冊100円で見つけ気をよくする。これで全巻揃った。他に生島治郎『星になれるか』(講談社文庫)100円、『友よ、背をむけるな』(日文文庫)300円を買う。そこを出て、商店街がある方にブラブラと歩くと、「中板橋へそ踊り」という看板を発見。ゆかいなイラストにあるとおりに、へそを出して練り歩くんだろうか? 八月二十三日に開催とある。もうすぐだ。こういうの、もともとの伝統行事ではなさそうだけど、商店街の誰かが考えるんだろうな。街のアイデアマンに取材してみたい。

へそ踊りの看板

へそ踊りの看板

 この駅にはもう一軒、〈北条書店〉がある。典型的な駅前の古本屋。寺山修司『花嫁化鳥 日本呪術紀行』(中公文庫)150円、斎藤綾子『愛より速く』(新潮文庫)100円と安い。オモシロそうな本が安く手に入ると、それだけで初めての街にわざわざ来た甲斐がある。いい気分で昼飯を食いに、目についた〈雲竜〉という中華料理屋に入る。ぼくはラーメン専門店などより、麺類から定食までメニューが多くて家族でやってる店のほうが好きだ。だって、ラーメンだけやってる店でウマイの食えたからってナンの感動もないでしょう? だけど、フツーの中華料理屋でフツーに選んで食べたものがウマかったら、これはもう感動モノなのだ。で、なんとなく頼んだギョーザとタンメンはちゃんとうまかった。

北条書店の入り口

北条書店の入り口

 中板橋に着いてから、昼飯を食べ終わるまでに約一時間。一駅の周辺を一時間かけて歩く旅というのも、なかなかイイではないか。これから仕事に行く前の時間を使って、こういう機会を持つようにしようか。こんどはドコにしようかな。……と、ココであっさり切り上げればスマートだったんだけど、せっかく東上線まで来たんだからと、隣りの大山にも寄ってしまう。ココでも古本屋へ。まず新古書店の〈ブックマート〉を覗き、次に〈SNS大山〉。神保町の〈新日本書籍〉の本店というか、倉庫的な店らしく、絶版マンガや文庫がかなりの量あった。ただし、値段は高め。黒川博行『海の稜線』(講談社文庫)を買う。古書店地図帖を頼りにもう一軒の古本屋を探すが、この大山の番地は法則性がないのか、いつまで歩いても目的の番地に達しない。東上線の踏切を二回も三回も越えるが、めんどくさくなって断念。気がつけば、暑い中を二時間も歩いている。ああ、ビンボー症は健康によくないよなァ。


2003年8月27日更新
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