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「蕩尽日録」タイトル

8月某日 千駄木ニテ
「もくろークン大感謝祭」ヲ執リ行フ事

南陀楼綾繁


、「第一回モクローくん大感謝祭」 7月末から8月22日まで、千駄木の「古書ほうろう」で、「第一回モクローくん大感謝祭」というイベントを行った。ぼくとヨメの旬公の二人でつくっている、世界で唯一の古書目録愛好フリーペーパー「モクローくん通信」の愛読者に向けたイベントで、ぼくがコレまで出したミニコミや手づくり本、寄稿した雑誌、「モク通」のオリジナルグッズ(絵葉書やマッチ)を展示・販売するものだ。それとともに、不要な本やダブリ本(これが結構多いのだ)も販売するという企画だ。

 古本屋さんで客が古本を売るなんてヘンな感じだが、レコード屋では昔から委託販売というのをやっているし、本屋でも最近、岡崎武志さんや浅生ハルミンさんが三鷹の「上々堂」で小さなコーナーを持っていたり、坪内祐三さんが神保町の新刊書店「東京堂」で古本コーナーをはじめたりと、オモシロイ動きがある。ぼくの場合は、「ほうろう」さんから「何かフェアをやりませんか?」という声を掛けてもらったのに便乗しただけなのだが。

 覚悟はしていたものの、準備はけっこう大変だった。まず、売る本と展示物を部屋から掘り出すだけで、ひと月ぐらい掛かった。たとえば、「日曜研究家」のバックナンバーにしても、バラバラの場所に置いてある。一回だけ書いたミニコミが影もカタチも見えないことも多かった。ナニしろ今月届いた雑誌さえどこかに消えてしまうのだから、どうしようもない。ある程度まとめると、段ボール箱に入れて、台車で「ほうろう」に運び、預かってもらった。

 一週間前から、ようやく展示の準備に入った。まず古本の値付け。あまり高くなく、思わず手が出てしまいそうな値段を考えて、値札に記入し、ノリ(貼ってはがせるもの)で見返しに貼り付ける。最初は細かく値段設定をしていたが、何十冊もやっているウチに面倒くさくなって、大体3パターンぐらいに落ち着く。売れたら補充することも考えて、全部で200冊ぐらい値付けしておいた。そして、前日には棚に本を並べる。自分の部屋に本を押し込めるのと違って、売り物として本をディスプレイするのは初めてなので、なかなか感じがつかめない。思ったほど、冊数が並べられないコトも判った。棚とは別に、外に面した場所にも、本を展示する。会期の前半はヨゼフ・ラダ、ヨゼフ・チャペックなどチェコの本を、後半は花森安治の装幀本。いずれも、なんとなく集めてきた本なので、コレクションというのもおこがましいけど。

お客さん そして、いよいよ初日がやってきた。午前中は棚にPOPをつけたり、まだ値段をつけてなかった一山に値札をつける。夜は7時から「古書目録の遊び方」と題するトークショー。雑本探検家の河内紀さん、古書日月堂の佐藤真砂さん、古書現世の向井透史くん、それに司会のぼく。店の奥の棚を脇によけてスペースをつくり、お客さんにはゴザに座ってもらう。入場料を300円とったにもかかわらず、47人も来てくれたため、ゴザだけで足りず、棚と棚との間の通路にもシートを引いた。4人で話したあと、休憩を入れ、後半は河内紀さんがTBSラジオで製作した番組を聴く。「言葉の交差点」より秋元松代(劇作家)、金子光晴(詩人)の話。次にラジオドラマ「ヤング・パンチ」シリーズより。音だけでみんながついてきてくれるか心配だったが、15分ずつの番組に引き込まれてきいている。前後に挟まれるCMもいい味。終わってから、西日暮里駅近くの韓国料理屋〈大栄〉に20人以上が集まり、打ち上げをした。2時過ぎまで飲んで、すっかり酔っぱらった。

古本 それから三週間、ほとんど毎日顔を出し、古本を追加したり、訪ねてくれたヒトに会ったりした。忙しくも充実した日々であった。売れそうだと思った本が売れなかったり、その逆に、適当に並べておいたCDがスゴイ勢いで売れたりと、商売のオモシロさ、難しさもよく判った。最終日、店を閉める直前に1万5千円買ってくれたヒトがいたのには感激したなァ。冗談で「第一回」と付けたのだけど、ホントに第二回もやりたくなった。次はどんなイベントにしようかな?

写真提供 古書ほうろう


2004年10月14日更新
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