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「蕩尽日録」タイトル

9月某日 【海外篇】ばり島デモ本ノアル場所ヲ求メテ彷徨スル事

南陀楼綾繁


 ぼくの両親が「冥土の土産」にもう一度海外旅行したいというので、バリ島のウブドに連れて行くコトにした。そうしたら、旬公の両親も一緒に行きたいと云いだして、総勢6人のバリ島旅行とあいなった。連れて行く、といっても、ぼくはバリに行くのは初めて。2回ウブドに滞在したことのある旬公に頼るしかない。

 滞在3日目。昨日はウブドのパサール(市場)を見たり、ヒンズーの寺でガムランを聴いたりした。今日はウブドから少し遠出することに。バリ人のニョマンさんの運転で、南に向かう。最初に観光客向けに寺で演じられている「バロン・ダンス」を見る。バロンというのはお獅子のような聖獣だ。日本でも観光客向けの芸能は退屈なモノが多いので、さほど期待していなかったが、コレがオモシロイ。善と悪との戦いが、さまざまなパターンで繰り広げられる。笑いあり、アクションあり。ガムランの伴奏も劇を盛り上げる。バリの伝統文化の奥深さに少しずつ興味が湧いてきた。

「バロン・ダンス」

 そのあと、ギアニャールのパサールで「バビグリン」(丸焼きした豚の各部分をご飯に掛けたもの)を食べたり、村の寺で行なわれている闘鶏を覗いたりして、ウブドに戻ってくる。庭の池に蓮が浮いている「ロータス・カフェ」でお茶したあと、両親二組と別れて街を歩く。伝統文化もイイのだが、やっぱり本屋を見てみたい。バリ島に本屋なんてあるのか、と思われるかもしれないし、ぼくもそう思っていたのだが、車で街を通っていると、それらしき店が何軒か目に入った。コレは行かずにはおられない。

 最初に小さな古本屋へ。店の前半分を雑貨、後ろ半分に本棚がある。欧米のペーパーバックがほとんどで、日本語の本は十数冊、それも西村京太郎とかしかない。長期旅行しているバックパッカーが読んだ本を売りにきて、代りに暇つぶしの本を買っていくのだという。しばらく歩いたトコロにも、「CINTA BOOKSHOP」という古本屋があり、ココで阿佐田哲也の小説を約100円で買った。さらに歩くと、「GANESHA BOOKSHOP」もあった。ココは新刊と古本の両方を扱っていて、バリ島に関する研究書やインドネシアの作家の本もよく揃っていた。

「CINTA BOOKSHOP」

 ウブドにはさらに、「PERPUSTAKAAN LIBRARY」という図書館まであった。一階で本を選び、二階に上がるとそこは縁台のようになっている。そこで寝ころんで読んでも良し、ビールでも飲みながら読んでもイイ。本屋にしても図書館にしても、長期滞在の欧米人向けにできたモノだが、教養とか文化を押し付けてくるような臭みがなく、好感が持てた。

「PERPUSTAKAAN LIBRARY」

 夕方、ホテルに帰り、プールサイドのベッドに寝ころんで、さっき買った『ギャンブル党狼派』(双葉新書)を読む。短編集で、どの作品にもバクチに骨がらみになって市民社会から外れていくロクデナシたちが出てくる。どれも一度読んだコトがあるが、日本を離れたところで再読すると、主人公の気持ちが前よりもよく判るような気がするからフシギだ。この日は遅くまで、ずっとこの短編集を読みふけったのだった。


2004年11月10日更新
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