神保町と言えば、いろいろ有名な店があるけれど、なかでもいつも行列ができているのが「さぶちゃん」。半分のチャーハンとラーメンのセットという、ラーメン屋における「定食」を開発した店として知られる。半チャンラーメンのポイントは、とりあえず定食の３大要素のうち、「飯と汁」で成立していることだ。そしてもう一つの要素がおかずなのだが、この場合、他の２要素がともにおかず的資質を持ちあわせているのだった。チャーハンはとりあえず「ご飯」だが、チャーシューや卵という「おかず」も含有している。ラーメンに至っては、スープが「汁」であり、主食たる麺は「おかず」になり得るのだった。

　それでだ。実は神保町には「さぶちゃん」以外にももう一つ、ウマい半チャンラーメンを食べさせる店がある。それこそ「伊峡」である。三省堂から靖国通りをわたった裏側にある。

どうでもいいけど、この界隈はいもやをはじめとしてやたらレベルの高い飲食店が密集している地域で、サラリーマンにとっても大学生にとってもエルドラド（黄金郷）のようなところだ。昼休みには多くの人で混雑しており、この伊峡も混んでいるが、店内の回転が早いのでそれほど待たない。昼をはずすと、それほど混んでなく、ゆったりと食べることができる。ちなみに半チャンラーメンは５８０円。実にシンプルきわまりない。ラーメンはシナチク、チャーシュー、海苔という構造、スープはすっきり醤油、チャーハンも具は卵とチャーシューとネギだ。味もオーソドックス。しかし、オーソドックスな味というのは大事で、最近はラーメンも実に複雑な味がするものが多く、「うーん、大将、鹿児島の黒豚の背脂と瀬戸内の煮干がいい仕事をしているね！」とか意味不明のうんちくを客が叫ぶような図式があるけど、ありゃいただけません。あのね、おじさんは単に普通の醤油ラーメンとチャーハンが食いたいんだよ！　頼むから黄身が半熟の玉子なんか入れないでくれ！（笑）　 そういう場合、このお店は実にふさわしい店です。

　なお、「野菜もとりたいなあ」という時は野菜たっぷりの湯麺（タンメン４８０円。このメニューも人気が高い）と半チャーハンのセットもできます。

2004年２月12日更新
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