第18回 立ちそばで定食が食べたくなって(4)…「小諸そば」
この原稿を記している時点(2004年3月)では、大手牛丼チェーンから牛丼がいっせいに消え去る騒動が起きている。このニュースを連日のようにテレビは伝えていたが、地方の人は「何でこんなに騒いでいるのか?」と不思議に思っているらしい。なかなか豊かな田舎の人には、都会の悲惨なサラリーマンの昼食事情における牛丼の果たす役割の重要性がわかりにくいのかも知れない。280円で「米と肉」がしっかりと、そして素早く食べられる食事なんて、他には存在しないからだ。
で、牛丼なき後、都会のサラリーマンたちはどうしているのか? 突然牛丼チェーンがこしらえた「カレー」やら「ハンバーグ」やらの新メニューにはなぜか目がつかず、足はふらふらと立ちそばやに向かってしまうのだった。
しかしながら、立ちそばやは、そばだけを食べていると牛丼に比べると、あきらかにパワーの点において差が大きい。そのために、立ちそばやに突撃したサラリーマンは、立ちそばやでサイドメニューを注文するのだった。そばの味も大事だが、やはりサイドメニューのボリュームも気になるところである。
その意味では、駿河台下にある小諸そばの学割セットは非常に素晴らしい食べ物だった。これは大盛りもりそばに、天丼がついた代物だったが、この天丼が「イカげそ、掻き揚げ、から揚げ」の巨大な3大てんぷらがドンと大量ご飯の上に載っているというものだったが、イカげそやらから揚げやらのジャンキーな味と、甘辛いたれがくせになるうまさだった。それと大盛りのもりそばを食べるとかなりの満足感だった。それでいて値段も550円だったのでなおさら素晴らしかった。そう言えばネギと小梅の漬物が取り放題、ポットに入ったそば湯もつくのも大きなポイントだ。
ただし残念ながら、この学割セットはしばらく前に姿を消してしまった。このセットばかりはこの駿河台下店だけのオリジナル商品だった。私のようなニセ学生がガシガシ食べていたからだろうか?しかし、店も学生証の提出を要求するわけでもなし、他のサラリーマンたちも学割セットを食べていたので、あながち私だけのせいじゃないよ。
言い訳はともかく、学割セットなき後も、丼ものとのセットも健在だし、何しろ220円で食べられるもりそばの淡白かつ繊細な味は、都内サラリーマンたちに深く愛されている。私が最近愛用しているのはみそひれカツ丼セット、そば大盛り仕様で550円で、これは結構満腹です。
間違いないのは「狂そば病」なんかが起きて、立ちそばやで立ちそばが食べられなくなつたときが、牛丼のときなんか比べ物にならないほど、本当に暴動になるような気がするなあ。
2004年5月7日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com
まで
[定食ニッポン]
第17回 立ちそばで定食が食べたくなって(3)…渋谷並木橋「梅もと」
第16回 立ちそばで定食が食べたくなって(2)…市ヶ谷「ゆで太郎」
第15回 立ちそばで定食が食べたくなって(1)…駒込「そば駒」
第14回 和顔というニューフェース!
第13回 伊峡の半チャンラーメン
第12回 喫茶店「さぼうる2」のカレーセット
第11回 キッチンカロリー「カロリー焼き」
第10回 神保町と言えば「いもや」
第9回 東京の洋食…「キッチン南海」
第8回 東京の洋食…「バンビ」
第7回 ヨコハマの洋食(3)…伊勢佐木「コトブキ」
第6回 ヨコハマの洋食(2)…野毛「センターグリル」
第5回 ヨコハマの洋食(1)
第4回 わが地下街での定食史(3)…地下街の歴史となくなった地下街
第3回 わが地下街での定食史(2)…横浜駅西口地下街(ジョイナス)「鉄板焼 らんじゅ」
第2回 わが地下街での定食史(1)…四国松山編
第1回 恵比寿・こづち
[模型鉄道プラモデル線の旅]
「スターウォーズとウエザリング」
「スターウォーズと音楽とウエザリング」
「秦野邦彦と出版ブームその2」
「ヌライムと秦野邦彦と出版ブームその1」
「アクションフィギュアの勃興と秦野邦彦」
「スターウォーズと秦野邦彦」
「怪獣相撲ブーム」
「消しゴム文明の隆盛と怪獣ブーム」
「スーパーカーブームがやってきた・その4」
「スーパーカーブームがやってきた・その3」
「スーパーカーブームがやってきた・その2」
「スーパーカーブームがやってきた・その1」
「未来少年コナンとガレージキットその2」
「未来少年コナンとガレージキット」
「銀河鉄道999と鉄道プラモデルと永遠の命」
「銀河鉄道999と鉄道プラモデル」
「ビッグワンガム、進化する!」
「素晴らしいビッグワンガム」
「100円ヤマトとビッグワンガムその1」
「宇宙戦艦ヤマトとウオーターラインシリーズその3」
「宇宙戦艦ヤマトとウオーターラインシリーズその2」
「宇宙戦艦ヤマトとウオーターラインシリーズその1」
「続・マジンガーZの呪い」
「マジンガーZの呪い」
→ |