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その39 「Luncoのオモシロ着物柄」の巻

弓屋かえる堂さえきあすか


 2004年10月、今まで見たことがない昔着物を紹介した1冊の本が発売されました。

「Luncoのオモシロ着物柄」

 タイトルは「Luncoのオモシロ着物柄」。
著者は、「その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻」でもご紹介した「ランコさん」こと永田欄子さんです。

 本のキーワードは「S」。
 スウィート、シーズン、センス、セクシー、スペース、シークレット、ストーリーと、Sから広がる世界は、虹のようにカラフルで魅惑的。
 紹介された大正から昭和初期につくられた着物たちは、当時の世相を思いっきり表現しています。そう、ヨーロッパからさまざまな影響を受けて、つぎつぎに新しいモノを生み出した時代です。約90年経った今見ても新鮮で、斬新なデザインに息をのんでしまいます。
 どこからめくってもいいんです。もう、ホント、お世辞ぬきで、ただただビックリ。内容の濃さ、深さ、多さに「これが着物なの?」って、誰もが思うこと間違いありません。それも、すごくマニアックなのにマニアックさが感じられなくて、スゴイ着物をさらりと紹介しているのもランコさんらしい。
 その上、10月29日から11月2日まで、アンティークモール銀座ギャラリーにて、「Luncoのオモシロ着物柄」の出版を記念し、本に掲載されている着物・帯・はぎれを中心に展示販売しちゃったんです。その時の案内ハガキがこちら↓

案内ハガキ

 よーく見てください。「S」が書かれた表紙の本が‥‥。
 驚くことなかれ、これも着物柄の布なんです。そして、着物の中の1冊を「Luncoのオモシロ着物柄」に変えちゃったあたり、ランコさんのセンスであり、なによりこんな着物柄の布に出会えちゃう、布を呼んでしまえちゃう、ランコさんの電波というか、モノがランコさんに向かっていくというような、そんな不思議な縁が彼女にはたくさんたくさんあるのです。
 古いモノって探せば見つかるという感じではないんですね。本当に一期一会の世界なんです。そんな「出会い」のモノたちを、惜しげもなく出版記念として販売しちゃうという、大胆、贅沢な行動ができるのも、ランコさんのすごさ、パワーのひとつです。なかなかできません。本当に。
 この個展情報、もっと早く聞いていたら、前もって「駅前ガラクタ商店街」でもご案内したのですが、少々バタバタしており、ランコさんの電波を受信できずにいました。幸いなことに、個展の搬入日前日にランコさんから直接お電話をいただき、本の存在と個展の話を知った次第で‥‥。お恥ずかしいかぎり。
 
 10月30日、軽い気持ちで会場に伺ったら、人の山。目に飛びこんできたのは昔なつかしい童話の絵本かしら?と思うような1冊。表紙ももちろん大正時代の着物柄。早速手にとってパラパラとページをめくりながら会場を見渡すと、本の中の着物たちがズラリ勢ぞろい! それはそれは圧巻でした。中でもスペースでご紹介した宇宙柄の着物は、自分の目を疑うほど。
 こんな豪華というか一風変わった個性的な着物たちを一同にみることは、今後ないような気がします。思わずため息がでます。 

 「ランコさん、おめでとうござします。そしてお疲れさまでした。すごい本ができましたねぇ。終わったあと気がぬけるというか、大丈夫でしたか?」
 「あすかちゃん、ありがとね。私ね。すっごい集中してこの本をつくったの。だから終わったあと、もっとこう、しんみりというか、ひたっちゃうかな?って思ったんだけど、ほんの一瞬でしたね。スッとさみしさみたいなものが過ぎていったの。だってね。その後も展示のことや、本にかかりっきりで山積みになった仕事があって、逆に元気がなくなってしまって‥‥。でもそんな時にね、あぁ、「Luncoのオモシロ着物柄」を読んでみたらいいんだって、読み返したの。そしたら元気になったの。不思議ね。自分がつくったなんて意識じゃなくて、ここに載っている着物たちが、私にパワーをくれているのね。私、客観的にそう思えたの。それで嬉しくなっちゃった」
 そう話すランコさんは、少女のようにキラキラしていてチャーミング。思うに彼女は、年を重ねるごとにパワーアップし、オーラが増しているんです。そのオーラは私より15も年下の男の子が受信していて、ちょっと前に彼と一緒にランコさんに会った時に、「可愛らしい女性ですね」って、口下手な彼がいった時にも思いました。ちなみに私は一度も彼にそんなセリフいわれたことないです。ううう。そんなランコさんの怪しい? いえ、妖しい一面は、本の中にもチラリと垣間見ることができます。「シークレット」のカテゴリーで。
 
 「私ね、この本を通して、それぞれの人がそれぞれの発見をしてくれたら嬉しいなって思っているのよ。どこから見てくれてもいいの。ここに紹介している着物を見てパワーをもらってほしいなぁって思うのね」
 こんなランコさんの世界をのぞいて見たい人、「Luncoのオモシロ着物柄」は、発行:(株)マーブルトロン。発売:中央公論社。定価:2,205円です。そして、個展に行きたかった人、本で紹介した着物はもう売れているかも知れませんが、ランコさんはお店もやっていますし、骨董市にも出展しておられます。詳しくは「Luncoおりひめ」http://www.lunco.net/ まで。
 自分にとって楽しいことは、なにがなんでも思いっきり楽しんでしまう、ランコさん。お会いするとこっちまで元気になります。そんな彼女がつくったお店は、やっぱりたくさん発見できるお店でもあります。ぜひぜひ、興味のある方は、書店で本にふれ、お店にも足を運んでいただきたく。

 最後に以前ランコさんのところからつれて帰った、お色気着物柄の浴衣布をご紹介して、終わりにしたいと思います。ランコさんと2人で笑ったのはいうまでもありません。失礼しました。

お色気着物柄の浴衣布


2004年11月11日更新
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その38 ペンギンのインキ壷の巻
その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻
その36 鹿の角でできた「萬歳」簪の巻
その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻
その34 「蛙のチンドン屋さん」メンコと亀有名画座の巻
その33 ドウブツトナリグミ・マメカミシバヰの巻
その32 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 後編
その31 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 前編
その30 『家庭電気読本』と上野文庫のご主人について‥‥の巻
その29 ちんどん屋失敗談とノリタケになぐさめられて‥‥巻
その28 愛国イロハカルタの巻
その27 ちんどん屋さんとペンギン踊りの巻
その26 「ラジオ体操の会・指導者之章」バッチと小野リサさんの巻
その25 針箱の巻
その24 カエルの藁人形と代用品の灰皿の巻
その23 『池袋骨董館』の『ラハリオ』からやってきた招き猫の巻
その22 東郷青児の一輪挿しの巻
その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
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その10 お相撲貯金箱の巻
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