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ブリキ皿

その43 奈良土産は『征露軍凱旋記念』ブリキ皿の巻

弓屋かえる堂さえきあすか


 6人で奈良にいってきました。一泊二日の小旅行です。目的は“奈良ドリームランド”と“鹿”。昨年から計画をたててきたのです。奈良ドリームランドとは、今から44年前の昭和36年に開園した奈良を代表する遊園地で、当時から変わっていない“外周列車”と巨大な木製のジェットコースター“ASKA”がお目当てでした。約10万坪の広々とした園内で、少し肌寒い春直前の風を感じながら、大の大人が6人で「キャーキャー」はしゃいでいる姿は、子供づれのお父さん、お母さんからみると、ちょっと異様な光景にうつったかも知れませんが、おかしいものはおかしい。“ジャングル巡行船”で、カバとゴリラのハーフという“カバ山ゴリ男”なる船長がいて、えんえんと同じ歌が流れていたりするのですが、大笑いしちゃいました。つくづく幸せな6人であります。

ASKA
ドリームランド

カエルごみ箱 話が前後しますが、奈良についたのがお昼前だったので、JR奈良駅前のこの地に根ざして何十年?という趣きのある喫茶店に入りました。そこで「持っていけ」とばかりに“奈良県飲食生活衛生同業組合”の奈良ドリームランド特別割引券がレジに置いてあり、格安で入園できたのも嬉しいことでした。余談ですが、駅前にはカエルがサッカーボールを持っている姿のゴミ箱が設置されていて、私が注目したのはいうまでもありません。

 その夜は明治42年に建てられた関西の迎賓館こと“奈良ホテル”に宿泊しました。昭和天皇をはじめ、皇室の方々、オードリー・ヘップバーンなど著名な方々が利用される由緒あるホテルです。最初に目についたのは、フロントの真正面にある鳥居付マントルピース。奈良ホテルの設計思想はマントルピースからわかるように、ドイツ様式の和風ホテルなのだそうです。当時の美しい木造建築が残っている奈良ホテルは、古いモノ好きの私にはたまらないホテルで、私たちは新館に泊ったのですが、本館を探検してみると廊下も木造で歩くたびにギシッと音がするのが味わい深く、やわらかい照明も磨き抜かれた家具たちも魅力的。ディナーはホテル内の大食堂で予約をし、シャンパンで乾杯。お酒に弱い私は、半分飲んだだけでイイ気持ちになったのでした。
 当ホテルでは、『奈良ホテル物語 その90年の歩み』という小冊子も発売しておられます。明治・大正・昭和・平成という激動の時代の流れの中で、現在に至るホテルの歴史を知ることができるのです。興味のある方はぜひ。年代物の木造建築や広大な庭園は、「愛情」と「こだわり」で保守管理しておられるそうで、維持していくにはご苦労が多いと思いますが、がんばってほしいなぁとしみじみ思ったのでした。

ホテル外観

鳥居付マントルピース
奈良ホテル物語

奈良ホテル

 翌日は鹿目当てに“大仏さま”を拝観しにいきました。鹿は探さないとみられないのかなぁと思っていましたが、なんの、なんの。想像していた以上に鹿が多くてビックリ。奈良公園の中で、のんびり座っていたり、餌を食べていたり。静かにしていておとなしいのです。私たちは当然“鹿せんべい”を購入して、いっぱい食べさせたのはいうまでもありません。手の平のせんべいをモショモショと食べている鹿の口元と、あたたかい感触が妙に印象に残り、帰ってからもしばらくモショモショの様子を思い出してしまいました。
奈良の大佛さま 肝心な大仏さまは、今更いうまでもありませんが本当に素晴らしく、ジッと見上げているだけで、せわしない日常がどこかにぶっ飛んで、時間の流れがゆっくりになった気がしました。ここでは絵本『奈良の大仏さま』を購入。大仏さまの歴史が描かれたこの絵本、というか漫画はわかりやすく、昔から売られているのでしょうね。なつかしい感じのする絵柄に、ますます時が止まったような気持ちになりました。
 ところが、全員でおみくじをひいたところ、なんと6人中3人が凶をひいてしまったんです。すごい確立の高さです。うち2人は今年に入って2度目の凶。ちなみにほかの3人は、小吉、末吉、半吉で、「みんなで運が低いよね」と複雑な思いで笑ったのでした。

鹿
鹿たくさん

 そんなこんなで一泊二日の小旅行はあっという間。帰りは京都から新幹線で帰ることにし、京都で少し時間ができたので私は1人で東寺に向かいました。なぜかというと、21日は東寺にて骨董市が開催されているからです。ついたのは4時過ぎでした。残念ながら片付けはじめたお店が多かったのですが、一軒のお店と目が合いました。そのお店からつれて帰ってきたのが、『征露軍凱旋記念』のブリキ皿と『国防科学模型教材 軍艦模型工作材料』ほか数点です。もともとコレクターだったご主人らしい、こだわりの品揃えに、ほんの数分でしたが、今回の旅行をこれにて満喫した!という気分になったりして。しかし、喜びもつかの間のこと。急いで京都駅まで戻らないといけません。必死で走り、待ち合わせ時間にギリギリ滑り込んだのでした。

軍艦模型

 『国防科学模型教材 軍艦模型工作材料』は、袋を開けてみると、木材が数本と一部完成部分品が袋にまとめて入っているだけでした。図面もついていますが、不器用な私は上手くつくる自信は、まったくありません。当時の子供たちは上手につくることができたのでしょうか? 手先も使わないといけないんだけど‥‥。なかなか、ね。
 『征露軍凱旋記念』のブリキ皿は2枚です。多少錆びているのは残念ですが、今から100年前のお皿でブリキと思えば、よくもまぁ残っていたものだと感心しちゃいます。それもまとまってでていましたから、どこかでひっそりと残っていたのでしょう。そういえば奈良ホテルの建設契機は、日露戦争戦勝にはじまるそうです。この戦争に勝った日本には、来遊する外国人が急増し、当時は外国要人の宿泊するホテルがなく、政府が働きかけたことにはじまるとか。そんな時代につくられたブリキ皿との出会いも、今回の旅行の縁に違いないと、毎度のごとく思い込みの強い私はまとめたのでありました。

ブリキ皿

ブリキ皿


2005年3月28日更新
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その42 ブリキのはがき函と『我楽多じまん』の巻
その41 満州は新京の絵葉書の巻
その40 ムーラン鉛筆棚の巻
その39 「Luncoのオモシロ着物柄」の巻
その38 ペンギンのインキ壷の巻
その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻
その36 鹿の角でできた「萬歳」簪の巻
その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻
その34 「蛙のチンドン屋さん」メンコと亀有名画座の巻
その33 ドウブツトナリグミ・マメカミシバヰの巻
その32 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 後編
その31 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 前編
その30 『家庭電気読本』と上野文庫のご主人について‥‥の巻
その29 ちんどん屋失敗談とノリタケになぐさめられて‥‥巻
その28 愛国イロハカルタの巻
その27 ちんどん屋さんとペンギン踊りの巻
その26 「ラジオ体操の会・指導者之章」バッチと小野リサさんの巻
その25 針箱の巻
その24 カエルの藁人形と代用品の灰皿の巻
その23 『池袋骨董館』の『ラハリオ』からやってきた招き猫の巻
その22 東郷青児の一輪挿しの巻
その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
その11 麦わらの鍋敷きの巻
その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
その8 ピンク色のお面の巻 後編
その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
その5 うさぎの筆筒の巻
その4 衛生優美・リリスマスクの巻
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その2 忠犬ハチ公クレヨンの巻
その1 野球蚊取線香の巻


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