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「定食ニッポン」タイトル

ご飯の大盛り

第44回 江古田シリーズ(1)…
「かつ田」のスバラシ〜い大盛り

畸人研究学会今柊二


 最近、用事が重なって江古田によく行く。この街は武蔵大学、日大芸術学部など大学が多い学生街という側面が強いこともあってか、定食力のあるエライ街なのだった。それも本連載で紹介した黒田武士のようないぶし銀のようなしぶ〜い店が多い反面、新興勢力の店もよくオープンして、伝統店と競っているあたりも、この街のスバラシイところなのだった。古本屋も結構よい店がある。北側の根元書房は雑誌にしても単行本にしてもよいものを見つけることができる。この前はここでなぜかサライから出ているあんぱんの本を買った(「こだわりあんぱん」)。南側にあるブックオフもよい品揃えだが、このブックオフの斜め前に昔、落穂舎という実にシブイ古本屋がかつてあった。1990年代前半の社会人になりたての頃、P・K・ディックにとても凝っていたことがあって、サンリオSF文庫版をよくこの店に買いに来ていたのだ。当時は現在のように多数創元推理文庫で復刻していなかったので、どこへ行っても絶版のサンリオ・ディック本は高かった。ディックの小説ではオタクグッズに逃げ込むダメな人たちが出てくる神経症的近未来が描かれていることも多く、ハードな現実に辟易としたときに読むと、なぜかとても心が落ち着く効果がある。そのためないとわかるとさらに欲しくなったのだ。ドラッグをテーマにしたものも多いが、確かにその意味ではドラッグ的な小説でもあった。
 で、そんなディック本を、落穂舎はとても良心的な根付けをしていた。それでも本についているもとの定価よりは当然高い。当時は古本の中毒度も低かったので、もとの定価のほぼ倍の値段に相当抵抗感があり、さんざん迷ったあげくにレジに持っていった。それでもしつこく店のお姉さんに「高いですねえ」というと、「高いけど、安いですよ!」とお姉さんにニコりと笑って言われたのが印象的だった(ねっ、良い店でしょ?)。

「かつ田」

 話が大幅にそれたのでもとに戻そう。この江古田駅の南側に、比較的新しい店としては、改札そばに「かつ田」というとんかつ系の店がある。何回もここの前は通りかかってはいたのだけれど、前述のとおり、江古田では入りたい店が結構あるのでなかなか入るチャンスがないし、またこういうステキな街でハズすのもイヤなので、なかなか入らないでいた。しかし、たまたま黒田武士も休みだったこともあって意を決して入ってみた。時間は14時くらいなのに、店内は結構客がいた。カウンターに座ってメニュー表を見ると、定食もあり、なかでもチキンカツ定食530円というのが目にとまった。ご飯の大盛りは無料、さらに麦ご飯も選択できるとのこと! エライ!と思って、速攻で「チキンカツ定食、大盛りで、白いご飯で!」と注文する。若い店員が元気よく注文を受けてくれる。店もきれいだなあ。カウンターには「ゆかり」もおいてあって、サービスがよいことがこれからもわかる。で、しばらくするとチキンカツ登場!

チキンカツ定食

 …素晴らしい。
 金属製の網の上に揚げたてのチキンカツが乗り、たっぷりのキャベツにレモンまで添えられ、トン汁、お新香までついている。カツはさすが揚げたてて、サクサク系でジューシーでおいしい。トン汁は野菜も一杯で「健康ありがとう!」といいたくなるようなヘルシー感! 530円でこれはとてもスゴイです。さらに圧巻はご飯の盛り! 写真のようにマンガのような見事な大盛り。これじゃあ「ゆかり」が活躍できるわけだわと深く納得して、ご飯をガガガとかきこんだのだった。


お知らせ!
本連載「定食ニッポン」をまとめて大幅に加筆した「定食バンザイ!」がちくま文庫として、5月12日に発売されました! ぜひともよろしくお願いします。発売一週間で重版になるという異様な売れ方をしています。現在三刷までいきました。

「定食バンザイ!」


2005年7月20日更新
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