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「定食ニッポン」タイトル

第48回
ちょっと沼津「丸天」で「うにぶつ丼」
畸人研究学会今柊二


「うにぶつ丼」 今から4年前の2001年に、沼津に行った。このときは仕事でもなかったのでかなりゆったりと時間があった。ちょうど5月でポカポカとした陽気だったこともあって、駅から港の方角にぶらぶらと歩いてみた。沼津はけっこう懐の深い街で、いきなりよい品揃えの古書店があったり、ウマそうなハムカツパンを売っているパン屋があったりとなかなか楽しい。ハムカツに愛着を感じるかどうかで年がわかるよね。
 特にパン屋のそばに、あまりにも蔵書が多くて、店内が整理されないまま混乱している店があったけど、こういう店って、宝さがしをしているみたいでとてもとても楽しい。中公文庫の海外紀行ものなどを買って店を出る。気持ちが高揚してきてさらに楽しくなってきたので、ズンズン歩いていくと、今度は道の途中に線路の跡のようなものが。どうやら廃線らしい。あとで調べてみると、蛇松線(沼津港線)という沼津港へと続く貨物線の廃線らしく、1974(昭和49)年に廃線となり、その跡が遊歩道などでのこっているのだった。よくわからない細長い歩道や空き地があると、廃線跡の場合が多く、ついつい昔列車が走っていた様子などを空想してしまう。街歩きの楽しさって、昔を空想したりすることにもあるよね。
  さらに歩いていくと今度はステキに大きい模型店があった。そうか、静岡は模型の企業が数多くあって、模型店もさかんなのだなと勝手に理解した。完成模型をいくつも飾っている立派な店内を見学していると、模型好きの血が騒ぎ、なぜかウオーターラインシリーズの軽巡洋艦の熊野を買ってしまう(これは小型大和のようで実にカッコいい!)。ウオーターラインシリーズというのは、1/700で、吃水線より上が模型化されているもので、タミヤ以下複数のメーカーで出されている艦船シリーズです。こんなところで買わなくてもいいんだが(笑)。

 模型片手にもっと歩いていくと、潮のにおいが強くなってきた。なんと港まで歩いてしまったのだった。我ながらアホだなあ。たださすがにここまで歩いてくると腹が減ってきた。市場のなかを歩いているとやたらと混んでいる店があった。「丸天」という店で海鮮系に強いみたいだ。ただし値段はどれも1000円前後と安くはないが、混んでいることと、よい店の発する勢いの良さのオーラを感じたこと、そして何よりもさすがに疲れていたので入ることに。店内には昼間から酒飲んで宴会をやっているような観光客がいて、ちょっと不安になった。が、それにもめげず、とりあえずは「うにぶつ丼」1029円を頼むことに。威勢のよいおばちゃんが注文をとっていく。そしてわりと早いタイミングで注文が到着。
 …こ、これは! 

「うにぶつ丼」

 丼には、ウニとマグロの漬けたものがドッサリ乗っている! とろろも! ウニも甘くておいしいが、なにしろマグロが大ぶりでどっさり入っていてとても食べ応えがある! もちろん新鮮だし、これはごちそう感がとてもある。ご飯の量も半端ではなく多いなあ。不安は消し去り、急激に満足度が上昇したのだった。ちなみにこの店はタワー型の巨大かき揚げ(735円)も名物とのことだが、とてもそれは食べることができない。もはや「うにぶつ丼」だけで満腹となってしまい、お金をはらって店をでた。
 …さすがにこれだけ食べると歩いて帰るのはさすがにツラいので、駅まではバスで帰ることに。ぼんやりと港のバス停で待っていると、なんだかとてもよい匂いが。匂いをたどるとしばらく離れたところで「イカのトンビ焼き100円」を串刺しで焼いて売っている。それがたまらなく香ばしい匂い。ちなみにイカのトンビとは口の部分のことです。満腹だが、仕方がないので一串買い、港に向かって食べる。こりゃ新鮮でコリコリしているなあ!
 青空を反射した深い色合いの海から潮風がさわさわと頬をかすめて吹き抜けてくる。

 こんなところで食べるからなおさらうまいのであった。

※ちなみに、この「うにぶつ丼」は2005年現在もちゃんとあります!


お知らせ!
本連載「定食ニッポン」をまとめて大幅に加筆した「定食バンザイ!」がちくま文庫として、5月12日に発売されました! ぜひともよろしくお願いします。発売一週間で重版になるという異様な売れ方をしています。現在三刷までいきました。

「定食バンザイ!」


2005年10月4日更新
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