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「ガラクタ商店街」タイトル

その57
斎藤真一『紅い陽の村』と
『夫婦岩』の大皿の巻
弓屋かえる堂さえきあすか


山形は秋
山形は秋

 昨年の秋、仕事がらみで山形へ行ってきました。青い空に紅葉が映えて、とても美しい季節。仕事の合間に山寺や藁葺き屋根の集落を見学し、天童市にある出羽桜美術館にも行きました。ここは、出羽桜酒造3代目社長・仲野清次郎さんが永年に亘って蒐集された、李朝をはじめとする陶磁器、工芸品を展示している美術館です。建物は先代仲野社長の旧住宅で、明治後期の日本家屋だそう。最近、洋物の建物や家具、装飾品ばかり目にする機会の多い私は、
 「やっぱり“和”は落ち着くなぁ」
 って、しみじみ思いながら、しっとりした気分?で見学しました。薄暗い広々とした畳の部屋や、縁側に光が射し込む様子は、時間の流れをゆっくりに感じさせてくれるから不思議です。年月をかけてつくってきたものが、この静かな流れをつくるのでしょうか。

藁葺屋根の集落で
藁葺屋根の集落で

藁葺屋根と秋晴れ
藁葺屋根と秋晴れ

吸い込まれそうな青空
吸い込まれそうな青空

 考えてみると、わが家だって築20年以上経っているマンション。決して新しくはないのに、いまひとつしっくりきません。たとえマンションであっても、室内だけは自分なりに納得のいった形にしたいのに。私の生活理念?がまだまだしっかりしていないからなのでしょう。なかなかうまくいきません。
 古いモノと新しいモノの融合?について…。新しく揃えていくことよりも使いこなしていくことについて…、真剣に考える今日この頃なのです。

出羽桜美術館
和啓塾入り口

 話が横にそれましたが、出羽桜美術館の分館は『斎藤真一心の美術館』になっていました。大正初期につくられた蔵の中に、斎藤真一さんの世界がギュッとつまっています。といっても、私は事前に調べて訪れたわけではなくフラッと行ったので、全然わかっておらず、美術館に入って感激した次第。
 映画『吉原炎上』の原作者でもある斎藤真一さん。映画は見たことあるけれど、絵画にはまったく縁がありませんでした。バンッと絵を見せられて、ギュッと気持ちを掴まれた気がしました。まず色合いに惹かれ、構図に息を呑みました。

紅い陽の村
紅い陽の村

越後瞽女日記
越後瞽女日記

 大きな真っ赤な太陽に向かって、果てしない雪道を歩く人たち。
 それが瞽女(ごぜ)さんだと知ったのは、しばらく説明を読んでからでした。「瞽女」とは、三味線を持って農村、山村を巡る盲目の女性遊行芸人たちのこと。年中移動し続ける彼女たちは、目的地の村へ着くと夜には村民たちを集めて、民謡や口説を聞かせ、かわりにお米などの祝儀をいただいていました。
 大きな太陽に向かって歩く瞽女さん…。まるで人の生き様を描いたとも思えるこの絵は、勇気をくれる絵だと思いました。タイトルは『紅い陽の村』。私はこの絵のポストカードを購入して額装し、わが家の玄関横の壁に飾りました。ポストカードの小さな絵なのに、この絵と目が合うたびに、「がんばろう」って気持ちになるから不思議です。
 「構成においては、彼女達が険しい山道を、峠を越えて歩いて行った勇気と大膽さと希望と自由さを身につけたいのだ。色彩においては、大自然の霊気のように、人びとがそこで深呼吸出来る透明で広大な、のびやかさがほしいのだ。」『越後瞽女日記 作品集』(著者:斎藤真一/発行:ギャラリー朱雀院)
 まさに、いわれるような絵だと思いました。

さすらいの画家 斎藤真一の世界
さすらいの画家 斎藤真一の世界

 2階には斎藤さんのアトリエが再現されていました。絵を描くためだけのものが並んでいます。ホーローの水差しもキャンバスも、なんだかとてもオシャレで、私も何か描いてみたい気分になりました。そして壁に掛かっている何枚ものキャンバス。描かれた真っ赤な太陽が、白っぽい部屋の中で、静かに輝いて見えました。
 太陽といえば、日本海の近くで幼少時を過ごした私は、水平線から昇る朝日は何度も見ていましたが、海に沈む夕日は見たことがありませんでした。西側には半島の山々が連なっていて見ることができなかったのです。子供心に海に沈む太陽を見ることは夢のひとつになっていました。自転車で海に沈む太陽を探しに行ったこともあります。けれど、どこまでいっても子供の足では山を越えることはできません。「いつか見たい」と思ったまま、そんな夢すら忘れていまい、斎藤さんの太陽の絵を見て当時の気持ちを思い出しました。そういえば、母はよく太陽を拝んでいたっけ。そんな経験のせいか、私は太陽が大好きです。紫外線はとても気にしていますが…。  

夫婦岩大皿
夫婦岩大皿

夫婦岩ヨーヨー
夫婦岩ヨーヨー


ヨーヨー裏面
ヨーヨー裏面

 今回ご紹介するのは、三重県は伊勢・二見浦の『夫婦岩』大皿と、木製のヨーヨーです。ひと昔前にお土産として売られていたのでしょう。大皿は直径が28cm。厚さが薄いので意外と重さはなく、使いやすいです。テーブルの真ん中に置くと、なかなかインパクトがあり、下手な料理を助けてくれたりもします。実にステキなのですヨ。ヨーヨーは色合いが可愛らしく、木製のあったかさも重なって、気に入っています。旅の記念にこういうモノを買うのは、今ほど物のない時代には、楽しさも嬉しさも今よりいっぱいだったのでしょうネ。余談ですがちょっと楽しかったのでご紹介。夫婦岩のライブ映像です。http://www3.eco.pref.mie.jp/avon/shizen/marugoto/meoto/meoto.html


2006年10月18日更新
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