「ライちゃん」、
昭和の終わりに亡くなった友人の呼び名です。彼女に会えなくなってから、一緒に写った写真を定期入れに入れて、ずっと持ち歩いてきました。気がつくと20年も経っていたのですね。
当時は、現在のようにプリクラやデジカメ、携帯電話なんてなくて、写真ってそんなに撮りませんでしたから、唯一持ち歩けたのはこの1枚だけ。だから失くしたと思った時には、半泣きで必死に探し、見つかるとホッとしたこと、20年の間には何回かありました。今となっては持ち歩かないと落ち着かない、お守りのような写真です。
それが、昨年大切な写真を飾るという趣味(?)ができまして、写真立てを並べてニコニコと眺めているうちに、ライちゃんの写真も飾ろうかなって、自然と思えたんです。こう思えたのは、神保町のすずらん通りにある『文房堂』で売っている写真立てのおかげ。ここの写真立てに出会えなかったら、写真をたくさん飾ろうなんて思いませんでした。全部木製なので、いろんなデザインのモノを並べても、統一感があるというか、なんとなくしっくりくるのです。
私がお目当てとする文房堂の写真立ては、「フレームのリサイクル品」といって、大きな額をつくった時の余りというか、切れ端でつくった特価品です。なので、気に入るデザインのモノがあるかどうかはお店に行ってみないとわかりません。たまたま行った時にピンッとくれば、ご縁があったと思い、喜んでつれて帰っているのです。そうそう、その56でご紹介した戦前の絵葉書を飾った金縁のフレームも、その69で、お花の刺繍を飾った水色とピンク色のフレームも文房堂からきました。余談ですが、この刺繍は私の祖母が92歳の時につくってくれたもので、フレームに入れたら大切さが増しました。
今回飾りたいライちゃんの写真は、定期入れに入る大きさです。合うフレームがあるといいけどって思いながらお店に行くと、深緑色に銀色でお花が彫ってある小さな写真立てがありました。ひと目でこれにしようと思い、その場で写真を入れてもらって、つれて帰りました。
そんな写真立てにちなんで、今回はひと昔前にアンチモニーでつくられた写真立てをご紹介します。6年くらい前に家にやってきた時から、写真を飾りたいと思ってきたのですが、あまりにもまわりの装飾が個性的というか、インパクトが強いので、この装飾に負けない写真を今日まで撮ることができず、写真なし状態で飾っているのでした。
どこで出会ったかというと、東京ビックサイトで年2回開催される“骨董ジャンボリー”です。溢れんばかりのモノたちの中で、キラリと視界に飛び込んできたのです。この写真立てには7ケ国の国旗が菊やバラの花と一緒に描いてあります。いつ頃つくられたモノなのでしょうか? いろいろな国の国旗が描いてあるモノといえば、同盟記念やオリンピックなどのスポーツ、もしくは博覧会の記念品などがあり、文房具や玩具、食器、着物などに描いてあるのは見たことがありますが、写真立てははじめて見ました。旗の種類から第一次世界大戦の同盟国かとも思ったのですが…。ご存知の方がおられたら教えてほしいです。
それにしても、私の前の持ち主さんは、いったいどんな写真を飾っていたのでしょうか? 写真が今よりもっと価値があり、貴重だった時代につくられた写真立てです。きっと、きちんとした装いをして、写真館で写した写真を飾ったに違いありません。今は手軽に写真が撮れる時代ですが、私は自分にとっての節目に、オシャレをして写真館で記念写真を撮って飾ることはステキだなぁと思うのです。
2008年2月13日更新
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