その77
たばこ祭りで買った 煙草煎餅と煙草図柄皿の巻 |
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季節は初秋。電車の窓から見える黄金色の田んぼや、稲刈りの風景、稲の間に並ぶ案山子たちと、田んぼの切れ目にところどころ咲いている真っ赤な彼岸花が、平成20年の夏が過ぎていったことを物語っていました。でも、9月末の今日は電車の冷房もまだまだ強めで、冷房嫌いな私はストールをグルグルと首に巻いて、季節の移り変わりを眺めています。
しかし、小田急線は本当に混みますね。以前新百合ヶ丘に住む友人が、小田急線で会社に通うことのたいへんさを力説していましたが、こんなに混むとは…。新宿から秦野まで、漫然と人が乗っているのです。土曜のお昼だというのに。
本日の目的は、毎度のごとく方位とり(その65参照)。私にとって申の方位である秦野市へやってきました。秦野市には出雲大社があるのです。頭の中におおまかな地図を入れての、ささやかな1人旅。駅に着くと南口を出て、とにかく大きな木のあるところを求めて出発です。
最初の森は八坂神社。次の森は今泉神社。森を目印にすれば神社にあたるからいいなぁと思いつつも、秦野駅の南側は私道が多くて行き止まりばかり。道がまっすぐ続いていないのです。カンだけを頼りに歩いていても、ぜんぜん進みません。途中2人ほど道を尋ねて、歩くところ40分。ようやくたどり着きました。島根県の出雲大社同様に、大きな注連縄が印象的です。ここでは2礼2拍手1礼ではなく、2礼4拍手1礼です。慣れない拍手に躊躇しつつも、お参りを無事にすませ、御朱印もいただき、お水も飲んで、なんとも気持ちのいい日です。
帰り道は線路の向こう側を探検しようかな…と歩くこと30分と少し、川沿いにたくさんの露店が見えてきました。お祭りですね。幟も見えてきました。なんと「たばこ祭り」と書いてあります。そんなお祭りがあるのですね。
幟に惹かれて川へ向かっていくとビックリ! 青く高い空を背に、山々が連なり、色とりどりの露店が横一列に並び、その手前に川が流れるという広大な景色が現れたのです。しばらく眺めていると、自然と人の融合なのだ、ナンテ思ってしまいました。駅前のビルでは「煙草煎餅」を売っていました。たばこの葉っぱの形をしたお煎餅です。 お店のおばあさんに尋ねてみると、
「秦野市では昔はピーナツと煙草だけつくっていたんですよ。この煙草煎餅も100年の歴史があるんですよ」 と話してくださいました。そして、たばこ祭りは60年以上も前に、たばこ耕作者の慰労会として、地域の活性化を目的としてはじまった市民祭りなのだそうです。先人たちの歴史、土地の歴史を伝えていこうとしているお祭りなのですね。私はなんだか嬉しくなり、煙草煎餅と落花生、秦野産ほうじ茶と番茶、ナンキンサブレを買って、秦野市をあとにしたのでした。
しかし、本当に小田急線は混みます。秦野から下北沢まで、ものすごい混雑ぶりでした。午後3時だというのに…。急行だから? いやいや、この沿線の土地が住みやすく、魅力があるということなのでしょう。余談ですが秦野市も区画整理が進んでいるようで、新築の建売物件が、どんどん建っていました。街も人も、世代交代が国内全体で起こっているなぁと、しみじみ思います。
さて、小田急線にひさしぶりに乗ったということで、下北沢へ行ってきました。毎度のごとく『古道具・月天』さんです。今回出会ったのは、「その69」でご紹介した“糸とおし”の新種です。説明によると、専売特許をとった糸とおしで、ひとつの糸とおしでありながら、3種類の針に使用することができる優れモノなのだとか。文字がかすれていて読みづらいのが残念ですが、説明書と本体が一緒にでてくるのは珍しく、ニコニコしちゃいました。
そしておしまいに、秦野市のたばこ祭りにちなんで、煙草図柄のお皿をご紹介しましょう。「敷島」、「朝日」、「国華」のパッケージが描かれています。これらの煙草は明治時代に発売された口付たばこです。 煙草にも歴史があるということがうかがい知れますね。
2008年 10月 8日更新
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