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「ガラクタ商店街」タイトル

その85
笠間骨董我楽多市と
一富士二鷹三茄子筆立ての巻

弓屋かえる堂さえきあすか


古本市
古本市

  茨城県笠間市へ行ってきました。以前から行きたいと思っていた場所のひとつです。やきものの里で器を探すことに、ずっとあこがれていたのです。なのに、なかなか行く機会がありませんでした。骨董市が最優先だったり、時間がなかったり…。でも、時間はつくるものですね。私にとってヨイ方位が北東の今月。方位とりを兼ねて笠間へ行こうと思ったのです。目的は“神社参り”と“笠間焼”と思っていたら、ラッキーなことに、5月2日は笠間稲荷神社前の笹目酒造裏駐車場にて、“骨董我楽多市”が開催されます。その上、笠間焼の祭典“陶炎祭”も笠間芸術の森公園内で開催されるそうで、200件以上の店舗で笠間焼を見ることができるのです。行き方を調べると、上野から特急フレッシュひたち号で友部まで行き、友部からは笠間までの周遊バスがでているとのこと。方位とりに神社参り、骨董市に陶器市、これだけ重なって行かないわけにはいかないでしょう。御朱印帳をバックに入れて、颯爽と出かけました。

古い建物と古本市
古い建物と古本市

 上野から1時間と少しで着いた友部駅で笠間観光地図をもらい、ざっと頭に地図を入れます。なんせ行くことを前日に決めたので、距離とか方向とかまったくわかっていないのです。さっそく周遊バスに乗って、まずは笠間稲荷神社でしょう!と向かいました。途中で陶炎祭会場を通過しましたが、駅からの距離、神社までの距離が結構あります。バスの時間は確認が必要だなと思いながらバスを降りると、目の前に古本市の幟が…。つられて入っていくと骨董市の幟が…。幟に導かれてフラフラ入っていくと、歴史ある酒造の建物のまわりに古本が並んでいる様子に、心が癒されます。場所柄なのか、やきものの古書が充実しており、つい手がでそうになりましたが、いけません。骨董市と陶器市が控えています。古書まで増えたら、どれだけ重たくなることか…。足早に骨董市会場へ向かうと、大音量で演歌が流れていて、ちょっとビックリ。5日まで開催ということで、しっかりテントが張られた会場には、40店くらいの店舗がずらりと並んでいました。骨董市独特の香りにワクワクします。

骨董市幟
骨董市幟


骨董市会場
骨董市会場


筆立て、鉛筆削り、仁丹ケース
筆立て、鉛筆削り、仁丹ケース


 そこで出会ったのが筆立てと、カオールの仁丹ケース、砲弾の形をした鉛筆削りの3点です。筆立ては陶製ですが、絵柄が実にいいのです。富士山と鷹が2羽、茄子が3本描いてあります。そうです。“一富士二鷹三茄子”です。初夢に見ると縁起がいいといわれるものが、あからさまに描いてあるのです。こういうのって昔の流行を見るようで、楽しくなります。それも筆立てだなんて。お皿や紙類ではありそうですけど、珍しい気がします。「おいくらですか?」と尋ねると、「珍しいんですよ」とのお返事に、これは高いかなぁ?と思ったら、「500円でいいです」とのこと。ちなみにカオールのケースは300円。砲弾型鉛筆削りは500円にしてくださいました。こういう手のひらにのるガラクタって大好きです。カオールにしても砲弾の鉛筆削りにしても、小さいながらもよくできています。カオールといえば、明治27年に安藤井筒堂(現在はオリヂナル株式会社)より発売された口中清涼剤で、いろんな形をしたケースがあります。ほかには、陶器や家具を商っておられるお店で、富士山が描かれたお皿が気になったのですが、これから笠間焼見るからなぁと思い、笠間稲荷神社へ向いました。

笠間稲荷神社
笠間稲荷神社


御朱印
御朱印


鳥居
鳥居


仲見世通り
仲見世通り

 笠間稲荷神社は、「日本三大稲荷」といわれるだけあって、正面にずらりと並ぶ仲見世通りも歴史が感じられます。売られている神棚やお土産に目がいきつつも、まずはお参り。御朱印をいただき、立派な藤を眺め、少し散歩をして次は陶炎祭と思いましたが、しばらくバスは来ません。喫茶店・繪馬に入り、陶炎祭会場への近道を聞いて歩くことにしました。途中田んぼの前にある佐白山のとうふ茶屋で豆乳ソフトクリームを食べ、田んぼの先にある大きな鯉のぼりを眺め、カフェ・ワスガゼンで昼食としました(ジャーマンステーキと地元で採れた野菜サラダ、とても美味しかったです)。そして陶炎祭です。緑の眩しい公園にたくさんのテントが張られています。太陽の光はギラギラ。今日はかなり陽に焼けそうです。会場には本当にたくさんのやきものがありました。私は笠間焼というと、厚ぼったくて茶色とか黒の渋い色合いで、民芸調って感じのイメージを持っていたのですが、今はそういうのは少ないのですね。可愛らしい感じの器が数多くありました。ちょっとした小皿とスープ用のカップを探したのですが、いまひとつピンときません。ひとつだけ、すごく気になったのは、サラダボールのような白磁の器で、紺色の線で描かれた山と、黄色い三日月がアクセントになったシンプルな器です。白髪の素敵なおじさまが、「この山は筑波山だよ。男体山と女体山があるだろう」って、奥様に説明して購入されました。ひとつしかなかったこのお皿。私も欲しかったのに…残念。

鯉のぼり
鯉のぼり


昼食はここで
昼食はここで


陶炎祭
陶炎祭


富士山のお皿
富士山のお皿

 会場全体を見終わってバス停に向かうと、ちょうど笠間駅行きの周遊バスが来ました。骨董市で気になったお皿をもう一度見ようと思い飛び乗りました。私を待っていてくれたのか富士山のお皿は残っていて、よかった、よかったと3枚購入し、これ以上重くならないからと、神社で御神水と柏餅をお土産として購入。またまたバスに乗って、笠間駅に向かいました。駅前の喫茶店で時間を30分ほどつぶしたものの、ほとんど無駄な時間はなく、列車に乗ることができ、上野に着いたのは6時半でした。もう少し調べていたら、もっと楽しめたのでしょうけど、いかんせん時間が足りない。でも行き当たりばったりの割には、まずまずの小旅行だったと思うのですが、いかがでしょう。頭の中に地図も入ったので、次回は自転車を借りようと思いました。坂道がけっこうあるから、キツイかな? そうそう、笠間駅のホームからは、前方に菜の花畑が見えました。耳をすますと鳥たちの鳴き声がたくさん聞こえます。中でも大きな声が、「ケンケン」と。…この声は、「キジだ!」ホームから3羽のキジを見ることができました。ちょっと嬉しくなりました。

笠間駅ホーム
笠間駅ホーム



2009年 5月28日更新


その84 喫茶店の中の東京タワーと『世界一の東京タワー』絵葉書の巻
その83 東洋の宝石「帝国ホテル・ライト館」名刺入れの巻
その82 昭和初期につくられた簪を入れた小引き出しの巻
その81 OCCUPIED JAPANの小箱と『伝統工芸 東北のこけし』の巻
その80 マツダセレクトスイッチ電気時計と『実用 電気時計総説』の巻
その79 『山梨水晶』カタログと“ブルームーンストーン”に恋をするの巻
その78 “タンク式洗濯器”と向田邦子さんを真似て古い小鉢を買うの巻
その77 たばこ祭りで買った煙草煎餅と煙草図柄皿の巻
その76 昭和13年ライオン常用日記と手帳の巻
その75 「防諜」を訴える三猿貯金箱の巻
その74 ビー玉、水晶、真珠、まんまるに惹かれての巻
その73 房総からやってきたウランガラスのビー玉と貝殻の巻
その72 切れ端の写真立てと国旗柄写真立ての巻
その71 富山の薬箱はひきだしの巻
その70 水アイロンと桜&鈴印のコテの巻
その69 『がらくたからもの』対談と主張する平和記念“糸とおし”の巻
その68 宇都宮からやって来た鳳凰が描かれた小箱の巻
その67 野球少年柄のランドセルとランドセル柄の帯の巻
その66 三峯神社と戦前の迷子札の巻
その65 浦賀からやってきた江戸時代の灯芯押さえの巻
その64 戦前の牛乳ビンは花瓶の巻
その63 便利な実用品『回轉式踏台』の巻
その62 美味しい野菜&野菜種袋の巻
その61 元旦の福袋!日満ポンプと戦前鉛筆削りの巻
その60 国産マッチ創始者『清水誠』とマッチ入れの巻
その59 “萬年海綿器”と“スタンプモイスチャー”の巻
その58 上野「十三や」のつげ櫛の巻
その57 斎藤真一『紅い陽の村』と『夫婦岩』の大皿の巻
その56 ケロちゃん色の帯と『LUNCOの夏着物展』の巻
その55 こわれてしまった招き猫「三吉」の巻
その54 下北沢の『古道具・月天』と画期的発明鉛筆削りの巻
その53 無料で魅力的なモノ、例えば「ケロちゃんの下敷き」の巻
その52 時間の整理と時間割の巻
その51 自分へのごほうび、昔の文房具に瞳キラキラの巻
その50 アンティーク家具を使ったブックカフェで…の巻
その49 『Lunco』と『小さなレトロ博物館』、着物だらけの1週間の巻
その48 コルゲンコーワのケロちゃんと『チェコのマッチラベル』の巻
その47 「旧軽の軽井沢レトロ館にてレースのハンカチを買う」の巻
その46 濱田研吾さんの『脇役本』、大山と富士山型貯金箱の巻
その45 横浜骨董ワールド&清涼飲料水瓶&ターコイズの指輪の巻
その44 『セルロイドハウス横浜館』とセルロイドのカエルの巻
その43 奈良土産は『征露軍凱旋記念』ブリキ皿の巻
その42 ブリキのはがき函と『我楽多じまん』の巻
その41 満州は新京の絵葉書の巻
その40 ムーラン鉛筆棚の巻
その39 「Luncoのオモシロ着物柄」の巻
その38 ペンギンのインキ壷の巻
その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻
その36 鹿の角でできた「萬歳」簪の巻
その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻
その34 「蛙のチンドン屋さん」メンコと亀有名画座の巻
その33 ドウブツトナリグミ・マメカミシバヰの巻
その32 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 後編
その31 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 前編
その30 『家庭電気読本』と上野文庫のご主人について‥‥の巻
その29 ちんどん屋失敗談とノリタケになぐさめられて‥‥巻
その28 愛国イロハカルタの巻
その27 ちんどん屋さんとペンギン踊りの巻
その26 「ラジオ体操の会・指導者之章」バッチと小野リサさんの巻
その25 針箱の巻
その24 カエルの藁人形と代用品の灰皿の巻
その23 『池袋骨董館』の『ラハリオ』からやってきた招き猫の巻
その22 東郷青児の一輪挿しの巻
その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
その11 麦わらの鍋敷きの巻
その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
その8 ピンク色のお面の巻 後編
その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
その5 うさぎの筆筒の巻
その4 衛生優美・リリスマスクの巻
その3 自転車の銘板「進出」の巻
その2 忠犬ハチ公クレヨンの巻
その1 野球蚊取線香の巻


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