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その90
絵葉書に見るキューピーの
お正月の巻

弓屋かえる堂さえきあすか


羽根つきをするキューピー

   新年は氏神様へのお参りからスタートするのが、わが家の恒例行事です。町内会の人たちと大晦日の11時半に集合場所を出発し、昇殿参拝で新年を迎えるのです。毎年のことでありながら、宮司さんの祝詞に、今年1年の幸福を願い、ピシッと気持ちが引き締まります。

   平成22年(2010年)は庚寅の年です。いったいどんな年になるのでしょうか。庚寅の年は、遡るとお伊勢参りが大流行したことが多々あるそうで、つまり世の中が不安定で先行き不透明だったのでしょう。神様にお願いする人が多かったのですね。今年のスタートも残念ながら、そんな感じです。そういえば、東京のパワースポットのひとつといわれる明治神宮御苑に、連日長い行列ができているそうです。なんでも明治神宮内にある井戸、清正井(きよまさのいど)の写真を、携帯で撮って待ち受け画面にすると、願いが叶うという口コミが広がったからだとか。私も近々明治神宮へお参りに行きたいと思っていたのですが、そんなテレビ報道を見たので、少し落ち着いてから行こうかなと思っているところです。先日お参りに行った飯田橋にある東京のお伊勢様、東京大神宮も、若い女性で境内は溢れていたっけ。特におみくじは長蛇の列で、お守りを選ぶのも時間がかかる、かかる。ちょっとびっくりしちゃいました。まさに庚寅の年らしい光景なのでしょうか。

お餅つきをするキューピー

   さて、前回に続いて、キューピー関連のモノをご紹介したいと思います。年賀状です。全部で3枚ご紹介しますが、描かれているのはお正月のキューピーです。まずは着物姿で羽根つきをするキューピー。なんとも可愛らしい表情に、思わずニッコリ微笑んでしまいます。考えてみたら、お正月に羽根つきをする光景なんて、もう何年も見ていません。羽根つきって、1年間の病気やケガをはねかえすという意味合いがあるそうです。現在のように遊びも多様化していなかったひと昔前には、ひとつひとつの遊びに縁起をかけて、子供の無病息災を願ったのですね。

   次に餅つきをするキューピーたちです。子供達の楽器演奏と一緒に、楽しそうに餅つきをしていますが、お餅をひっくり返す人がいないのはご愛敬。ねじり鉢巻き姿で、杵を持つ5人のキューピーが、とても可愛いです。

   そして、おせち料理とお屠蘇を一生懸命運ぶキューピーたち。1人だけ運ばないで、踊っていますね。おせち料理は、わが家はつくりませんが、お重の中にずらりといろどりよく並んだ縁起を担いだ食べ物は、食べるためというより、目でみる楽しさと夢があります。つくづく料理上手になりたいなぁとこの時期は思うのですが、う〜ん。なかなか上手になりません。ちなみにこの絵葉書は、ほかに3種類あります。1921年(大正10年)辛酉年の絵葉書のようで、飛行機にキューピーとニワトリが乗っている絵柄もあり、飛行機の横に1921の数字があるためわかりました。

おせちを運ぶキューピー

   年賀状といえば、ずいぶん筆不精になってしまって、以前「筆マメな人」といわれていた私はいずこへと、反省しきりなのですが、手紙もなかなか書かなくなってしまいました。キューピーの年賀状が流通していた時代は、人との連絡の手段は郵便がメインでしたから、さまざまな絵葉書が流通していて、今手に取ると、タイムマシンではないけれど、当時の時代を垣間見ることができて、楽しい気持ちになるものです。年賀状に描かれた楽しそうなキューピーたちにあやかって、今年1年ニコニコと笑顔の多い楽しい年にしたいものです。




2010年1月18日更新


その89 クリスマスにキューピーのペーパーウエイトの巻
その88 雪が谷大塚からやってきた、「溶鉱炉水滴」と「スズメの豆皿」の巻
その87 まぼろしの神保町絵葉書とまぼろし骨董館の巻
その86 防虫消毒香料発散機「ムシキラー」の巻
その85 笠間骨董我楽多市と一富士二鷹三茄子筆立ての巻
その84 喫茶店の中の東京タワーと『世界一の東京タワー』絵葉書の巻
その83 東洋の宝石「帝国ホテル・ライト館」名刺入れの巻
その82 昭和初期につくられた簪を入れた小引き出しの巻
その81 OCCUPIED JAPANの小箱と『伝統工芸 東北のこけし』の巻
その80 マツダセレクトスイッチ電気時計と『実用 電気時計総説』の巻
その79 『山梨水晶』カタログと“ブルームーンストーン”に恋をするの巻
その78 “タンク式洗濯器”と向田邦子さんを真似て古い小鉢を買うの巻
その77 たばこ祭りで買った煙草煎餅と煙草図柄皿の巻
その76 昭和13年ライオン常用日記と手帳の巻
その75 「防諜」を訴える三猿貯金箱の巻
その74 ビー玉、水晶、真珠、まんまるに惹かれての巻
その73 房総からやってきたウランガラスのビー玉と貝殻の巻
その72 切れ端の写真立てと国旗柄写真立ての巻
その71 富山の薬箱はひきだしの巻
その70 水アイロンと桜&鈴印のコテの巻
その69 『がらくたからもの』対談と主張する平和記念“糸とおし”の巻
その68 宇都宮からやって来た鳳凰が描かれた小箱の巻
その67 野球少年柄のランドセルとランドセル柄の帯の巻
その66 三峯神社と戦前の迷子札の巻
その65 浦賀からやってきた江戸時代の灯芯押さえの巻
その64 戦前の牛乳ビンは花瓶の巻
その63 便利な実用品『回轉式踏台』の巻
その62 美味しい野菜&野菜種袋の巻
その61 元旦の福袋!日満ポンプと戦前鉛筆削りの巻
その60 国産マッチ創始者『清水誠』とマッチ入れの巻
その59 “萬年海綿器”と“スタンプモイスチャー”の巻
その58 上野「十三や」のつげ櫛の巻
その57 斎藤真一『紅い陽の村』と『夫婦岩』の大皿の巻
その56 ケロちゃん色の帯と『LUNCOの夏着物展』の巻
その55 こわれてしまった招き猫「三吉」の巻
その54 下北沢の『古道具・月天』と画期的発明鉛筆削りの巻
その53 無料で魅力的なモノ、例えば「ケロちゃんの下敷き」の巻
その52 時間の整理と時間割の巻
その51 自分へのごほうび、昔の文房具に瞳キラキラの巻
その50 アンティーク家具を使ったブックカフェで…の巻
その49 『Lunco』と『小さなレトロ博物館』、着物だらけの1週間の巻
その48 コルゲンコーワのケロちゃんと『チェコのマッチラベル』の巻
その47 「旧軽の軽井沢レトロ館にてレースのハンカチを買う」の巻
その46 濱田研吾さんの『脇役本』、大山と富士山型貯金箱の巻
その45 横浜骨董ワールド&清涼飲料水瓶&ターコイズの指輪の巻
その44 『セルロイドハウス横浜館』とセルロイドのカエルの巻
その43 奈良土産は『征露軍凱旋記念』ブリキ皿の巻
その42 ブリキのはがき函と『我楽多じまん』の巻
その41 満州は新京の絵葉書の巻
その40 ムーラン鉛筆棚の巻
その39 「Luncoのオモシロ着物柄」の巻
その38 ペンギンのインキ壷の巻
その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻
その36 鹿の角でできた「萬歳」簪の巻
その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻
その34 「蛙のチンドン屋さん」メンコと亀有名画座の巻
その33 ドウブツトナリグミ・マメカミシバヰの巻
その32 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 後編
その31 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 前編
その30 『家庭電気読本』と上野文庫のご主人について‥‥の巻
その29 ちんどん屋失敗談とノリタケになぐさめられて‥‥巻
その28 愛国イロハカルタの巻
その27 ちんどん屋さんとペンギン踊りの巻
その26 「ラジオ体操の会・指導者之章」バッチと小野リサさんの巻
その25 針箱の巻
その24 カエルの藁人形と代用品の灰皿の巻
その23 『池袋骨董館』の『ラハリオ』からやってきた招き猫の巻
その22 東郷青児の一輪挿しの巻
その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
その11 麦わらの鍋敷きの巻
その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
その8 ピンク色のお面の巻 後編
その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
その5 うさぎの筆筒の巻
その4 衛生優美・リリスマスクの巻
その3 自転車の銘板「進出」の巻
その2 忠犬ハチ公クレヨンの巻
その1 野球蚊取線香の巻


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